ぽっかぽか
パチリ。
揺りかごの中で、目が覚めた。
辺りは真っ暗。
肌に触れる空気は冷たい。
冬の、朝の気配。
『ふわあぁ〜』
辺りの冷気に身震いしながら、欠伸を漏らした。
・・・寒いし、お腹が空いた。誰かを起こさなくっちゃ。
そう思った時。
カチャリ。
部屋のドアが開く。
ドアの隙間からそーっと顔を出したのは。
『はいんりひ!』
その人の名前を呼ぶと、薄暗がりの中、クリスタルの瞳が丸くなるのが見て取れた。
「イワン・・・。起きてたのか?」
『ウン。今起キタトコロ。チョウド、誰カヲ呼ボウトシテタンダヨ』
「そうか」
『はいんりひハ?』
「ん?」
『はいんりひハドウシテ、コノ部屋ニ顔ヲ出シタノ??』
「今朝は冷えが厳しいからな。ちゃんと暖かくして寝ているか、気になったんだ」
答えながら、ハインリヒが部屋の中に入ってくる。
ただそれだけで、なんだか周りの空気が暖かくなるような気がした。
長い腕が伸び、ボクの身体を抱き上げてくれた。
『オ腹空イタ〜』
甘ったれた口調でボクがそう言うと。
「ハイハイ。すぐに準備してやるからな」
ハインリヒは苦笑して、ボクを抱いたまま、キッチンへと向かった。
優しい優しい腕の中は、ぽかぽかと暖かで気持ちイイ。
お湯を沸かす音。
ふんわりと立ち上る湯気。
ミルクを溶かす匂い。
寒々しかったキッチンが、次第に暖かな空気を纏い出す。
ボクはふわふわと宙に浮かびながら、ハインリヒの手元を見ていた。
最後に、ミルクを人肌に冷ましてから。
「ほら、出来たぞ」
ハインリヒがボクに手を差し伸べる。
ボクはスポンとその腕の中に飛び込んだ。
やっぱり、ぽかぽかと暖かい腕の中。
それからリビングのソファに腰を下ろし、ハインリヒはボクにミルクを飲ませてくれた。
温かいミルクに、身体もぽかぽかと温まる。
でもね、それだけじゃない。
身体だけじゃなくて、心もぽかぽか。
『えへへ〜vvv』
「どうした、イワン?」
『今ネ、トッテモぽかぽか気分v』
「そうか・・・。良かったな。ミルクを飲んで、身体が温まったんだろう」
ウンウンと、ハインリヒがしたり顔で頷いた。
『みるくモ温カダケド・・・』
「ん??」
『何ヨリきみガ側ニイテクレルカラ。ダカラ、ぽかぽかナンダヨ?』
・・・ハインリヒは、ひどく柔らかな表情で笑って。
ボクの髪を優しく撫でてくれた。
なんていうか、子供扱いされてちょっと不満ではあるけれど。
まあ、いいか。
幸せだしvvv
大好きな人の腕の中。
ボクは今、心も身体もぽっかぽか。
〜END〜
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久々の14更新です!3ヶ月ぶり??
なのに、すっごく短編でスミマセン〜(滝汗)。
最近明け方冷えてきましたので、「ちょっと冷える朝の暖かな14」が書きたいな、
と思って書きました。
赤子イワンを書くのも久々な気がします。
14スキーの皆様に、少しでも楽しんでもらえれば幸いです。