大好き
To ハインリヒ。
お誕生日、おめでとう。
世界中の仲間達から。
きっと沢山のプレゼントが、ドイツのキミの所に届いたろうね。
ありふれたモノは贈りたくなくて、でもボクは、キミに何を贈ってあげたらいいんだろう?
キミの瞳のように綺麗な青空の下でこの手紙を書きながら。
考えて、考えて。
結局、ボクがキミに本当にあげられるモノなんて、一つしかないって。
そう、思ったんだ。
形に出来るものじゃないけれど。
ボクの気持ちを、キミに贈るよ。
沢山の大好きな気持ちを乗せて、この手紙がキミに届きますように。
ねえ、元気にしている?
無茶はしないで、時々でいいからボクのコトを思い出してね。
大好きだよ。
大好きだよ、ボクのハインリヒ。
大好き。
キミが生まれてきてくれたこの日を、ボクは心から嬉しく思うよ。
お誕生日、おめでとう。
何度でも言うよ。
大好きなキミに。
お誕生日、おめでとう。
from イワン
手の中の空色の便箋を愛しげに見つめ、ハインリヒはその頬に穏やかな笑みを浮かべた。
「ありがとう、イワン・・・」
世界各地からそれぞれに、プレゼントが贈られてきて。
どれもこれも、ハインリヒにとって嬉しいものだったけれど。
「・・・この手紙が、一番嬉しいぞ」
急に、イワンに会いたくなった。
その気持ちを紛らわすように、手紙にそっとキスを贈る。
「イワン・・・」
『呼ンダ??』
「!?」
耳元でイワンの声が聞こえ、幻聴でも聞こえ始めたかと、ハインリヒは慌てて辺りを見回した。
フワリ、フワリ。
ハインリヒの部屋の中央に、イワンが浮かんでいる。
「イワン!!」
思わず腕を伸ばすと、クスリと悪戯っぽく笑う声が聞こえた。
『きみニ、強ク呼バレタヨウナ気ガシテネ。思ワズ、どいつマデ来チャッタッテわけ。嬉シイデショ?』
「・・・嬉しいに決まってるだろうが・・・」
思わず、ポロリと本音が漏れた。
『素直デヨロシイ』
長い前髪の中でイワンの瞳が光り、彼は少年の姿になって、ハインリヒの前に立った。
「赤ん坊の姿じゃ、あまりに色気がないからね。サービス、サービスv」
「馬鹿・・・」
目頭を押さえて、ハインリヒは呟いた。
泣きたい様な、笑いたい様な、不思議な気分で。
「手紙、読んでくれた?」
ハインリヒは、小さく頷いた。
「ボクの気持ち、ちゃんと届いた??」
今度は大きく。
ハインリヒは、頷いた。
「良かったv」
砂色の瞳が、楽しそうに揺れる。
「ね、ハインリヒ・・・」
「何だ?」
「大好きだよ・・・」
クスクスと笑いながら告げられた言葉に、ハインリヒは赤面した。
面と向かって言われると、やはり照れてしまう。
「好きだよ、大好き・・・」
イワンが大きく背伸びをして。
ハインリヒの頬に、可愛らしくキスをしてくれた。
「お誕生日、おめでとうv」
「ありがとう・・・」
自分が生まれた日を、こんなに喜んでくれる人がいることは、幸せなことだと思う。
「ね、せっかくだから、二人で誕生日パーティをしよう!!」
「・・・そうだな。イワンが、付き合ってくれるのなら」
「付き合うも何も、率先して準備させてもらうよ」
ひどく満ち足りた気分で。
ハインリヒはイワンに向かって笑いかけた。
心の中が、ぽかぽかと暖かくなるのを感じながら。
〜END〜
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ハインリヒ聖誕祭に出したハインバースデー14です。
イワンからハインリヒへの『大好きv』な気持ちを沢山込めて書きました。
(イワンにかなり感情移入しております・・・)
イワンがイキナリ少年になったりするのはご愛嬌というコトでvvv
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