キミと歩きたい


 澄み切った青い空が、目に沁みるようで。
 爽やかな風は、優しく頬を撫でてくれる。
 今日はとても良い天気だ。
 こんな日は、自然と足取りも軽くなる。
 しかもボクの側にはハインリヒがいてくれて。
 頬に穏やかな微笑みを浮かべながら、ボクの隣を歩いている。
 そんな、幸せな一時。


「天気が良いな。散歩にでも行くか?」
 珍しいハインリヒからの誘いに、ボクは二つ返事で出掛けることをOKした。
 イソイソと出掛ける準備をするボクに、ハインリヒは苦笑する。
「そんなに急がなくても・・・。天気は逃げていったりしないと思うぞ?」
 ボクが急いでいるのは、キミの気が変わらないうちに、と思ってるからで。
 別に天気が逃げていくと思ってる訳じゃねーんだけど・・・。
 なんて、反論する時間さえ惜しい。
 そんな、貴重な時間。


 眩しい太陽の光と同じぐらいに。
 ボクにとって、キミは眩しい人だ。
 柔らかい銀の髪が、太陽の光を反射して、うっすらとブロンド色に染まる。
 普段は物憂げに見える瞳も、明るく輝いているように見える。
 唇に浮かぶ微笑みは、最高にカワイイ。
 本当にキレイな、ボクのハインリヒ。
 この素晴らしい陽気に拍手を贈りたいぐらいだ。
 そんなことを考えながら、じっとハインリヒを見つめると。
 訝しげなハインリヒの視線と、ボクの瞳がぶつかった。
「さっきから、人の顔を見てニヤニヤして、変なヤツだな・・・」
「・・・キレイだな、と思って」
 そう答えると、ハインリヒは嬉しそうに笑って、
「本当に。綺麗な青空だ」
 眩しそうに、空を見上げた。
 あまりと言えばあまりの言葉に、ボクは思わず、脱力しそうになる。
 でも。こんな会話も、嬉しい。


「ちっがーう!ボクが言いたいのは、空のコトじゃなくて、だな」
「じゃあ、木々の緑の事か??」
 このお姫様は、ホンットにとぼけてくれる。
 ボクはビシッとハインリヒを指差して、宣言した。
「キレイなのは、キミだよっ!!」
「・・・お前、ホントに馬鹿だな・・・」
 呆れながらもやっぱり嬉しそうに、ハインリヒが笑った。
 その愛らしい笑顔に。
 突然キスがしたくなって、腕を引き寄せると。
 スルリ。
 猫のような仕草で、ハインリヒがボクの胸の中に身を滑らせた。
 腕の中のハインリヒは、悪戯な眼差しで小さく笑って。
 ボクの頬に、優しくキスをしてくれた。
「・・・っ!?」
 自分が鼻の頭まで赤くなっているのが分かる。
 何だか、いつもと立場が逆のような気が・・・。
 赤くなったボクを見て、ハインリヒは人が悪そうに笑い。
「行くぞ」
 ボクの前に立って、スタスタと歩き出した。
 ハインリヒからキスしてくれるなんて、一体どうなってるんだよ〜!?
 頭が混乱して、立ち止まってしまったボクを、ハインリヒが振り返る。
「早くしろ。置いてくぞ?」
 太陽の下、キラキラと輝く。
 キミのその姿、やっぱり眩しいぜ。


 青い空の下。
 二人で一緒に、歩く。
 幸せな一時。
 ずっとずっと、キミと一緒に歩いていきたい。
 そして、一緒に明日を紡いでいこう。
 この幸せな気持ちのまま、ずっと・・・。
 二人ならきっと、ずっと一緒に歩いていけるはずだから。
 だから。
 キミと、歩いていきたい。




  〜 END 〜





お粗末さまでした(汗)。
 ラブラブvジェット&ハインリヒをテーマに書いたつもりなのですが・・・。。
 会社の休み時間に外に出たら、あまりにも陽気が良くて、嬉しくなって、
創作のアイディアが浮かんでしまったので、お話を書いてしまいました。
  今回、ジェットの一人称に悩んだのですが、原作に忠実に「ボク」にしました。
 ハインリヒへの呼びかけも、原作に合わせて「キミ」に。
 なんだか優男っぽいジェットになっちゃったんで、次回から「オレ」「アンタ」に戻します。



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