冬の散歩道




 キミと一緒に歩く、街並。
 頬に吹き付けてくる風は、まだまだ冷たいけれど。
 心は温かだ。
 隣に、キミがいるから。
 黒いコートのポケットに手を突っ込んだキミは、少し背中を丸めて歩く。
 風が強い、早朝の散歩道。



「こう風が強いと・・・寒さを感じない身体のハズなのに、なんだか寒いような気分になるな?」
 肩を竦めて、キミは苦笑する。
 その細い肩が、微かに震えて見えて。
 思わず抱き寄せたら、キミは大人しく、オレに寄り添った。
 こんなにキミが素直だと・・・何だか照れてしまう。
「ホンットに寒いな」
 なんてどうでもいいコトを呟きながら、オレは自分のマフラーをほどき。
 キミと自分の首に、グルグルと巻きつけなおした。
 ひとつのマフラーを、二人で半分ずつ。
「二人マフラーって、一回やってみたかったんだよな〜vvv」
「・・・バカ」
 呆れたように、キミは微笑むけれど。
 こういう一時って、大切だろ?
「でも、暖かいだろ?身体も、心もさ」
 そう言って、俺がニヤリと笑って見せると。
 キミは、プイッとそっぽを向いた。
 「・・・・・・」
 そして暫しの沈黙の後。
 短い答えが返ってきた。
「・・・そうだな・・・」
 キミはオレから顔を背けたままだけれど。
 その白い頬は・・・キレイに赤くなっていて、キミが思いっきり照れているのが分かる。
 キミのそんな表情が、オレには嬉しいよ。
 オレだけに見せてくれる、キミの色んな表情。
 何度見ても、幸せな気分にさせてくれる。
「へへへ〜」
 思わずヘラリと笑いを漏らすと。
「なっ、何だ!?気持ち悪いっ!!」
 ギョッとしたように、ハインリヒがオレに顔を向けた。
 チャンス到来とばかりに、軽〜いキスを送ると。
 頬がますます赤くなってカワイイぜv
「行くぞっ!!!」
 ハインリヒがずんずんと歩き出す。
 二人マフラーなので、オレはそのまま引きずられる。
「ハインリヒ〜」
「何だ!?」
 怒ってる時も、キミはやっぱり可愛らしい。
「何でもないv」
「なら呼ぶな!」
 そんなに怒鳴らないでくれよ、オレのハニー。
 なんて言ったら、ホントにぶっ飛ばされそうだけど。
 誰よりもキレイでカワイイ、キミはオレのハニー。
 ヘラヘラ顔をどうにも出来ないオレを見て、キミはため息をついた。
「・・・もういい。散歩の続きをするぞ」
「了解♪」



 冷たい手にそっと触れて、ギュッと握りしめる。
 キミは遠慮がちに、オレの手を握り返してくれる。
 ・・・なんか、ホントにささやかな幸せだけど・・・。



 キミといると、幸せ。
 オレといると、キミも幸せ?
 幸せだよな、ハインリヒ!?

 そんなコトを考えながら、キミのその端整な顔立ちをただ黙って見つめていたら。
 キミはオレにチラリと視線を走らせた後。
 ・・・穏やかに微笑んで見せた。
 キレイな氷の瞳が、揺れる。

 その瞳の中に映された言葉に、オレはひどく満足した。



 吹き付ける風は相変わらず冷たいけれど。
 オレの心は、とってもホット。
 キミが側にいてくれるからだよ。
 オレのハインリヒ。



 キミと一緒に・・・静かに歩く、街並に。
 また風が吹いて、二人で巻いているマフラーを、フワリと揺らした。



〜 END 〜




224デーの24ですっ!!
短いお話になりましたが、気合いと根性で仕上げました(笑)。
冬に散歩する二人と、二人で一つのマフラーにくるまっているところが書きたかったのです!
ベタですけど・・・。
相変わらず、いっちゃいちゃでスミマセン。
でも書いている本人が楽しいからイイのですっ!!!
24はいいですのう・・・って、いつもそれで完結だな、私!
皆様にもお楽しみいただけたら嬉しいのですが・・・。





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