ここ数日、ずっと、雨が続いていた。
 日本では6月が梅雨で雨が多い季節とされているが、実際には、10月の方が降雨量が多いらしい。
 こう雨ばかりが続くと、気が滅入る。
 青い空が、恋しくなる。



「ホラ!見ろよ、ハインリヒ!キレイな青空だ!!」
 久々に、綺麗に晴れたその日。
 青い空の中に、白い雲が浮かぶ。
 穏やかな秋の日差しの中を、ジェットと一緒に、歩いた。
「おい。半袖で寒くないのか?」
「今日はいい陽気だし、ちょうどイイんだけど。キミこそ、この日差しの中、真っ黒な長袖で暑くない?」
「・・・平気だ」
 そんな会話を交わしながら。
 歩く。

 どこからかふんわりと、優しい香りが漂ってきた。
 視線を辺りに彷徨わせると、
「ホラ、あそこからだ・・・」
 ジェットが、とある家の軒先を指差した。
 その指の先に見えるのは。
 艶やかな葉の緑の中に咲く、小さなオレンジ色の花の姿。
 金木犀の木だ。
 自然のままの、甘くて柔らかな香り。
「良い香りだな・・・」
 香気漂う小さな花と、とてもよく似た色の瞳を和ませて。
 ジェットが穏やかに微笑んだ。
「そうだな」

 優しい香りの中を、歩く。
 二人、一緒に。
 木の前を通り過ぎても、甘い香りが追ってくる。
「・・・なんかさ・・・」
「何だ?」
「キミみたいな香りだよな。甘くて、優しくて・・・」
「・・・真面目な顔で、阿呆なコトを言うな」
「え?オレはマジなんですけど??」
「・・・お前って、本当に馬鹿だな・・・」
 二人で顔を見合わせて。
 笑いが、こみ上げてくる。



 清々しい青い空の下。
 お前と一緒に。
 柔らかな香りと、優しい笑顔に包まれて。
 歩こう。
 二人で、一緒に。


〜 END 〜  


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ハピバースデー自分!!

相方の一が、
誕生日祝いに!!
と、イラストをくれました。
貰ったものは、ガッツリアップ。
そしてヘボイSSを付け、恩を仇で(笑)。
いつもありがとうね、一!!
一生付きまとうので、
そのつもりでお付き合い願います(笑)vv



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