RAINY DAY




 しとしと雨が降っている日に。
 二人で、少し遠出をした。
 朝から細かく降り続ける雨は、止みそうで、止まない。

 電車から降り駅から一歩出ると、雨は小降りになっていて。
 今日の目的地である美術館は、駅から歩いてほんの少しの場所。
 傘を開こうか迷っていると、ジェットがハインリヒを見てニッコリと笑った。
「小降りだし、目的地まですぐだし。オレの傘に入れば?」
 灰色の空の下、パッと開かれた傘は、落ち着いたブルー。
 自分の手元にある、しっかりと閉じられた傘を見て。
 それからジェットに視線を走らせ、ハインリヒはスルリと、開かれた傘の下に身体を滑らせた。
 驚いたように、ジェットが瞳を丸くする。
「何だ。自分から入れと言っておいて、何をそんなに驚いてる?」
 苦笑交じりに尋ねると。
「や、だって・・・。本当に入ってくれると思ってなかったから」
 そう答えてから、嬉しそうに頬を綻ばせた。
 傘の下、大の男二人が、身を寄せ合う。
 傍から見ればカッコ悪いかも知れないが・・・。

 たまには、良いかも知れんな・・・。

 すぐ側に、ジェットの温もりを感じて、ハインリヒはそんな事を考えた。
「濡れるよ。もう少し、こっちにおいで」
 言いながら、ジェットがごくごく自然に、傘を持っていない方の腕でハインリヒの腰を抱き寄せた。
 普段なら殴り飛ばすところだが、狭い傘に二人で入っているのだから、まあ仕方ない。
 なんて、言い訳がましく思って。
 ジェットを見上げると、本当に嬉しそうに笑っていた。
 何だか、こっちまで嬉しくなってしまった。

 気分良く、歩幅を並べて歩く。

 不意に、雨脚が強くなって。
 相合傘だと、流石に厳しくなってくる。
「ジェット。濡れるから、自分の傘を使うぞ」
 傘を開きながら言うと、
「ええ〜?もう少しで着くのに・・・。何かの呪いか・・・!?」
 非常に残念そうに、ジェットがそんな事を言うものだから。
 思わず、クスリと笑ってしまった。
「オレは本気でガッカリなんだけど・・・」
 ハインリヒの腰を抱いていた手を、所在なさげに宙に浮かせて見せる。
 すぐ側の温もりが消えてしまったのが、些か淋しいとは思うけれど。
「また、小降りになったら、お前の傘に入れてもらおうか」
「・・・うん!」

 傘を並べて、歩く。
 目的地はもうすぐ。

 しとしとと、雨は・・・静かに降り続ける。


〜 END 〜



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雨の日に、相方の一さんと歩いていて、ネタゲットしたものです。
ラブラブだな、一さんと自分(笑)!
日々是ネタ帖でございますね〜vvv
短すぎてごめんなさい。
日記でネタSSにしてもいいぐらいですよね(汗)。
雨脚が強くなったのは、黒4の嫌がらせに違いないですよ(笑)!!







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