星の指輪
(第六話)
ハインリヒの背中を軽く撫でながら、ジェットは尋ねた。
「少しは落ち着いた?」
「ん・・・」
涙の残る瞳がジェットを見つめ、そしてハインリヒはバツが悪そうに俯いた。
「すまない・・・」
「キミが謝る必要なんてない」
「だが・・・」
ジェットは人差し指で、ハインリヒの唇に優しく触れた。
その言葉を、遮るように。
「キミを初めてこの腕に抱きしめてキスした時から、もう、どれだけの時が流れたと思う?気が遠くなるようなその長い時間を、オレ達ずっと、二人で一緒に歩いてきたじゃないか」
「それは・・・お前がオレに合わせて・・・」
ジェットは小さく息を吐き、ハインリヒの白い両頬を、手の平で包み込んだ。
ハインリヒの視線が、落ちつかな気に宙を彷徨う。
「ハインリヒ。オレを見るんだ」
おずおずとハインリヒが視線を合わせてきた。
その氷の瞳を覗き込みながら。
「キミに合わせてるんじゃない。オレは、キミと一緒じゃないと、もう一歩だって前に進めないんだ。言ってなかった?だからオレ達、これからも一緒に歩いていこう」
ハインリヒと、そして自分に言い聞かせるように、ジェットは言葉を紡いだ。
「ジェット・・・」
キレイな瞳が、また泣き出しそうだ。
けれども、ジェットはハインリヒに問いかけた。
大事な大事な、質問を。
「もう一度聞く。ハインリヒ、オレのコト愛してる?オレを見て、答えて」
潤んだ瞳が愛しい。
ジェットを見つめたまま、ハインリヒの唇が薄く開き。
「・・・愛してる・・・」
その唇から零れ落ちた言葉こそ、ジェットが欲しかった言葉だった。
「ハインリヒ・・・!」
名前を呼ぶと、ハインリヒはハッとしたような表情になり、自身の唇を押さえた。
「オレ・・・」
「今更違うって言っても聞かないぜ?キミはオレを愛してる。オレはキミを愛してる。愛し合ってる二人が、ずっと一緒にいるなんて、当然だろ??」
「・・・・・・ジェット。お前は・・・お前は、こんなオレでいいのか?」
「何度も言ってるだろ?オレには、キミしかいないって」
ジェットを見つめる瞳に、月の雫のような涙が浮かぶ。
「泣かないで、今度こそちゃんと返事を聞かせて。これからも、オレと一緒に歩いてくれるか?」
ポロリとハインリヒの瞳から雫が落ちて、何度も何度も、ハインリヒは首を縦に振った。
ジェットにはもう、それだけで充分だった。
「ずっと、大切にするから・・・」
ハインリヒの身体をギュッと抱きしめて、ジェットは耳元で囁いた。
〜 To be Continued 〜
今回も短いで〜す(自暴自棄)!!!!
次回が最終話になります、多分。
正式にプロポーズのやり直しです(爆)。