スキカップリングでキス十題

02:背中に
(14)
*イワンは少年設定でお願いします*




 空の向こうに、何が見えるの?
 キミが瞳を細めて眺めている空の向こうには、何が・・・?
 お願いだから。
 優しく振り向いて、ボクのコトを・・・。




 コンコンと軽くドアをノックする。
「ハインリヒ」
 呼びかけると、ほんの一瞬の沈黙の後、低い声で返事が戻ってきた。
「・・・開いている。勝手に入れ」
 入れと言われたら、本当に入ってしまうよ・・・?
 遠慮なく、ドアノブを回す。

 大きく開け放った、窓辺に凭れて。
 キミはボクを振り返ることもなく、窓の外を見ている。
 窓の外に広がる、空を。
 ただ、黙って。
 身動きもしないで。

 キレイな青い空に、キミを攫われてしまいそうな気がしてたまらない。

「ハインリヒ」
「・・・・・・」
 やっぱり、返事はなくて。
 キミは、空を見上げている。
 今ボクが見ることが出来ないキミの瞳には、キレイな蒼が映ってるんだろうね。
 窓辺で静かに外を見ているキミは、今にも消えてしまいそう。

 背後に忍び寄って。
 広い背中を、ギュッと抱きしめた。
「ハインリヒ・・・」

 空に、吸い込まれてしまわないで・・・。

 キミの背中に頬を寄せる。
 シャツ越しに感じられる、滑らかな肌。
 微かに、キミの温もりを感じる。
 その温もりが愛しくて、けれども何処となく切なくて。

 自分でも理解できないような感情に突き動かされて。

 背骨のラインに沿うようにして、キスを降らせる。
「・・・イワン・・・?」
 ようやく聞けた声は、キミの背を震わせて。
 キスした口唇に響いた。



 空の向こうに、何が見えるの?
 キミが瞳を細めて眺めている空の向こうには、何が・・・?

 黙ったままキスを続けていると。
「イワン」
 キミが、優しくボクを振り返る。
「どうした、一体・・・?」
 ボクが聞きたいよ。

 空の向こうに、何を見ていたの?

 けれども、それを聞くことはせずに。
「キスしたかっただけ」
 答えると、優しい手の平がボクの髪を撫でた。
「・・・そうか・・・」

 何処かに、行ってしまわないで。

 言えば笑われるであろう言葉を口にすることも出来ずに。
 ボクはただギュッと、キミを抱きしめるだけ。

 空よりも何よりも、ボクを見ていてよ・・・。

 口にすることが出来ずに、キミを・・・。



〜 END 〜





ちゅーお題、初の14です。
少年イワンが背後からハインリヒを抱きしめてチューをすると、
ちょうど背中にちゅーになる・・・!!
と思って、温めていたネタです。
思いの外、切ないテイストになりました。
2005年の14デー作品・・・ということに致したいと思います。





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