スキカップリングでキス十題

08痕を残す
(24)




 シーツの海の中、白い身体がぐったりと沈み込む。
 覆い被さるようにして、抱きしめた。
 腕の中の身体が微かに動き、重そうに持ち上げられようとした腕は、上がりきれずに再び下ろされた。
「ゴメン。無理させた?」
 クリスタルの瞳を覗き込みながら悪戯っぽく尋ねると、フイと横を向いた。
 耳朶が赤くなるのが見て取れ、思わずクスリと笑いを漏らすと。
「・・・笑ってんじゃねえ・・・」
 思いっきり不本意そうな表情が可愛らしい。
「だって、キミが可愛いからv」
 ハートマークを飛ばしてそう言うと、嫌そうに眉根を寄せた。
 前髪をサラリと掻き上げて、額にキス。
「・・・しつこいぞ」
 ギロリと睨まれたが、些かも怯むことなくキスを落としていく。
「やめろって・・・!!」
「ダ〜メ」
 ニッコリと微笑みかけながら言うと、グッと言葉に詰まるような様子を見せた。
「キスだけなら、イイだろ?」
 綺麗なラインを描く鎖骨。
 チュウと口付け、強く吸い上げる。
「つっ・・・!」
 真っ白な肌に、紅い花びら。
「おい!痕付けるなって・・・!!」
「ダメ。悪い虫が付かないように、マーキングしておかないとな」
「要らん!!」
 首筋にも、チュウ。
 胸の下辺りにも、チュウ。
 脇腹にもチュウ。
「・・・ジェット・・・」
 押し殺したような声。
「それ以上下に行ったら・・・殺すぞ・・・?」
 少しやりすぎたかと、慌てて顔を上げた。
「分かった、ゴメン。もうしない」
 ホッとしたような顔をする。
 そして、ふわあとあくびをした。
 スルリと隣に滑り込んで、
「お休み、ハインリヒ」
 そう言うと、もう一度あくびをして、もぞもぞと丸くなった。
 髪を撫でてやると、目を細める。
 そして、間もなくスースーと気持ちよさそうな寝息。
 ふと目をやった首の後ろは、まだ真っ白なままだ。

どうせ、着る服はタートルネックだ。
 一つや二つ、キスマークが増えたって構わないだろう。
 ・・・見えないし。

 悪戯っ気を出して。
 ウチュウと、もう一度マーキングしてみた。
 真っ白な肌に、自分が付けた紅い痕。
 所有印という感じで、実に気分がいい。
 ・・・正面切ってこんなコトを言ったら、泣きそうな顔で怒るだろうけれど。

 オレのキミなんだって、思いたいから。



〜 END 〜





ベタベタでスミマセン(汗)。
ハインさんにマーキングするジェットが書きたかっただけ、
というのがバレバレの一作。
24書いたの久々かも・・・!!!と思って、自分で些か驚いてみたり。






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