第二話
そのまま、壁際に縫い付けられた。
ひんやりとした感触に、ハインリヒは微かに震えた。
執拗なキスは続く。
カチャカチャという金属音に驚愕して身を固めると、男は低く喉を鳴らした。
ひどく、楽しそうに。
離された唇から透明な糸が引く。
「リンクが気になるか?だが、アレは目覚めはしない。知っているだろう?」
気付けば、身に付けていたスラックスと下着を膝の辺りまで引き下ろされていた。
「や・・・」
「リンクは目覚めない。この部屋には誰も来る事はない。そして、お前に選択権はない。・・・違うか?」
ハインリヒは黙って首を横に振り、瞳を閉じた。
「あ・・・」
自身を巧みに愛撫され、思わず声が漏れる。
「感じるか?」
耳元で囁かれ、意志と相反して、身体が震えた。
「違っ・・・!」
「その痩せ我慢がいつまで持つかな?」
「あぁ・・っ!」
指先で刺激され、ハインリヒは気がおかしくなってしまいそうだと思ったが、達する事は許されなかった。
「ああ・・・」
ガクガクと腰が揺れた。
身体を支える事が出来ず、男の肩にしがみ付く自分を、浅ましく感じた。
先走りの液を、男の指が絡め取る。
男はその指を、ハインリヒの口内に捩り入れた。
「ん!?」
「舐めろ」
言われるがままに、ハインリヒは男の指を舐めた。
「ん・・ふっ・・・」
ピチャピチャと音を立て、男の指を舐めていると。
身体の奥が、微かに疼いた。
ハインリヒの口唇から指を引き抜き、男はそれを、ハインリヒの蕾に挿し入れた。
「やめっ・・・!!」
「フン・・・。本当は、良くて仕方が無いのだろう?」
笑いを含んだ声で男は囁き、ハインリヒの中で指を蠢かした。
長い指が、内部のある部分を擦り上げると。
「ん、ああっ!」
ハインリヒの口唇から、悲鳴のような声が上がる。
「ほう。ここがイイのか?」
男はしつこく、その部分を責めてくる。
段々と指の数は増え。
「う・・・ぁ・・・」
弱い部分を掻き回される度に、眩暈がしそうだ。
「大分、良さそうだな・・・」
くちゅりと音がして、男の指がハインリヒから抜けた。
「あ・・はぁ・・・」
揺れる腰を抱え上げられ、男の欲望の塊がハインリヒに突き刺さった。
男は、律動を開始する。
激しく揺さぶられ、
「あ、あっ、あ・・・」
あまりの快感に、ハインリヒはただ、声を上げることしか出来ない。
柔らかな肉襞が、男を締め付けた。
「アルベルト・・・」
耳元に息を吹きかけられ、背筋がゾクゾクした。
「んっ・はっ・・」
知らず、男の動きにあわせて腰が揺れていた。
「・・・っ」
「あっ、あああっ!!!」
男の熱い迸りを受け止め、ハインリヒ自身も果てた。
ハインリヒの身体が、ズルリと崩れ落ちた。
「アルベルト」
名前を呼ばれ、男を見上げた。
「なかなか楽しませてもらったぞ」
ハインリヒの精液で濡れた指を、男はこれ紅い舌でペロリと舐め上げた。
ハインリヒは思わず、その様から視線を逸らした。
「う・・・」
不意に、ハインリヒの耳に届いた小さな声は。
ジェットの口唇から漏れたものだった。
「ジェット・・・!」
ハインリヒの頬に、パッと血の気が上がった。
「どうだ?お前の願いを叶えてやったぞ。リンクは、甦る」
ハインリヒを見下ろし、男が笑う。
「さあ、約束どおりに私のものになってもらおう」
冷たい指が、ハインリヒの顎を持ち上げた。
「・・・待ってくれ」
掠れた声で、ハインリヒは言葉を発した。
「今更、約束を違えると言うのではあるまいな?」
「違う。・・・最後に、別れを・・・」
「良かろう・・・」
男がハインリヒの腕を掴み、立ち上がらせた。
覚束ない足取りでベッドに歩み寄り、ハインリヒは優しくジェットを見つめた。
「ジェット・・・」
静かにその名を呼び、ハインリヒはジェットの前髪をそっとかき上げた。
額に、頬に触れて。
最後に、彼の口唇にそっとキスを落とした。
「ジェット・・・。愛してる」
淡いブルーの瞳から、涙が一粒零れ落ち、ジェットの頬を濡らした。
「・・・さようなら・・・」
薄っすらと、ジェットの瞳が開きかける。
「ハインリヒ・・・」
名前を呼ばれ、ハインリヒの瞳から、ポロポロと涙が零れた。
「ジェット・・・。黙っていなくなるオレを、許してくれ・・・!」
男は薄笑いを浮かべながらその様子を眺めていたが。
「気が済んだろう?来い、アルベルト」
突然、強くハインリヒの肩を引き寄せ、身に纏っているマントを、翻えした。
部屋の中に一陣の風が吹き。
二人の姿は忽然と、その部屋から消えてなくなった。
〜続〜
2話目です。救いようが無く暗い話です(汗)。
今回はエロ強化も目標(あくまで目標)なので、
あと最低2回ぐらいは、えっちシーンを頑張りたいです!!
しかし、どうしてウチの黒リッヒは最凶無敵なんでしょうか(笑)??
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