第四話




 美しい小鳥を籠の中に閉じ込めておくように。
 アルベルト・ハインリヒを、自身の居城に囲う。
「この城から外に出ることは許さん。必要なものがあれば言え。何でも与えてやるぞ」
 そう言うと、ハインリヒは小さく頷いた。
 そして約束どおり、城から外に出て行くことは無かった。
 城の庭に咲き乱れる紅い薔薇。
 時折、庭に出て黙ってその花を見つめる以外に太陽の光を浴びることはなく、白い頬はますます青白くなっていった。



 毎日のようにハインリヒを抱いた。
 自分の物だと、強く思う。
 この世に生を受けた瞬間から、当たり前のように。
 口唇を、貪る。
「んっ・・は・・・」
 クリスタルの瞳が、キュッと閉じられた。
「目を開けて、私を見ろ」
 命じると、従順に瞳を開いた。
 淡いブルーの輝き。
 しかしその視線は自分を通り越して、どこか遠くを見ている。
 そのことに何故か苛立ち、ロクに慣らしもせずに、己でその身体を貫いた。
「・・・っ!!」
 眉根を寄せ、ハインリヒは痛みに耐えるような表情をした。
 けれども。
 その表情には次第に快楽の色が混ざり。
 次第に涙にと情欲に濡れていくその瞳は、やはり自分を通り抜けて・・・。
「ああ・・・ジェット・・・」
 薄い口唇から漏れたその名前に、僅かに不快感を覚え。
 ズルリと、ハインリヒから肉棒を引き抜いた。
「あ・・・」
 切ない声を上げ、ハインリヒが腰を揺らす。
 いつもなら愉快に見える筈のその様も、どうにも不愉快に思えて。
「気が変わった。自分で強請ってみせてみろ。上手く強請れれば、褒美をくれてやる」
 そう言えば、ハインリヒは欲望に耐ようとするかのように、キュッと口唇を噛みしめた。
 そんなハインリヒを冷たく見下ろす。
「どうした?素直に強請れるようにしてやろうか?」
 ベッドサイドに手を伸ばし、スプレーをハインリヒに容赦なく吹きかけた。
 スプレーから出てきた霧を吸い込み、ケホケホとむせた後。
 急に、ハインリヒの身体が震え出した。
「な・・・?」
「即効性の媚薬だ。気分はどうかな?」
 薄く笑いながら蕾に指を押し当て、入口でじらすように指をうごめかせた。
「うぁっ!?」
「このまま、指だけでイかせてやろうか?」
「や・・っ!」
 瞳に涙を浮かべ、ハインリヒは首を振った。
「ならば、私に言うべきことがあるのではないか?」
「あ・・・ああっ・・ん」
 ハインリヒに聞こえるように、わざと音を立てながら指を動かす。
「はぁっ・・んん〜っ」
「アルベルト。さあ」
「入れ・・ろ!!」
 途切れ途切れに、ハインリヒの口唇から言葉が綴られる。
「そんな強請り方があるか。もっとキチンと頼んでみろ」
「入れて。お願っ・・・!!」
 欲情に濡れた瞳に見つめられた。
 今その瞳に映っているのは、己のみだ。
 満足そうにその瞳を覗き込んだ後、ズプリとハインリヒを貫いた。
「ぁぁ〜っ!!」
 声にならない悲鳴を上げ、ハインリヒの身体が仰け反った。
「あ・・ああんっ!は・ぁっ!!」
 開かれた口唇から、絶え間なく喘ぎ声が漏れる。
「イイか・・・?」
 耳元で囁きかけると。
 いつもはシーツを握りしめて快楽に耐えているその白い手が、自身の背中に回された。
「イイ・・・。気持ち・・・イイっ!!」
 すぐにでも達してしまいそうなハインリヒの姿に、胸が透いた。
 わざと動きを緩やかにすると、ハインリヒがねだるように腰を擦り付けてきた。
「お願い・・・もっと・・激しく・・・」
「ん?こうか??」
 強く腰を打ち付けると、ハインリヒはすすり泣くような声で快感を訴えた。
「あっ、もっダメ・・・あ・・はぁ・・いやぁっ!!」
「ここは、悦んでいるようだが?」
 結合部から、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音が響く。
「ん・はぁっ!ああ・っ・・」
「イきたいか?」
 ガクガクと首を縦に振り、ハインリヒがしがみついてきた。
「・・もっ・イかせてっ!!」
 敏感な部分を擦り上げるようにして腰を動かすと。
「あ、あ、あ・・ああぁっーーー!!」
 高く絶叫し、腕の中で白い身体が弛緩する。
 ハインリヒから自身を抜いて、桜色に染まったその顔面に、どろどろとした白い欲望の液を散らした。
「あ・・は・・・」
 恍惚とした表情で、ハインリヒは指先で精液を拭い取り、紅い舌でそれを舐めた。

「まだ欲しいか?それならば、私を満足させてみせろ」
 まだ力の漲った肉棒でその頬を叩くと。
 口唇を開き、ハインリヒは躊躇いもせず、パクリとそれを咥え込んだ。
「んんっ。・・ふぅ・ん」
「いい様だな、アルベルト?」
 褐色の指で、柔らかな髪を梳きながら。
 満足気な笑みを頬に浮かべた。
「お前は、私の物だ。他の者の事など、考える必要は無い」
「んぐっ・・・ふぁ・・」
 ぴちゃぴちゃという音と喘ぎ声だけが、薄暗い部屋の中に響いては消えていった。




〜続〜







またハインが犯られててスミマセン。
いいの、黒44だから!!と、開き直りつつ。
早く王子(ジェット)が助けに来てくれないかな〜、
と、他人事のように思ったり。
自分で書くんだよ・・・。


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