第七話
抱きしめた白い身体は冷たく。
ジェットの腕の中で、頼りなく震えている。
・・・少し、細くなったか?
そう思い、ジェットは胸を痛めた。
「ハインリヒ・・・」
気持ちだけが溢れて、上手く言葉にならない。
自分のために、ハインリヒはその身を犠牲にしたのだ。
良かれと思って。
柔らかな髪に指を差し込み、梳くようにして撫でた。
そのままそっと、シーツの海の中に、ハインリヒを沈めた。
ハインリヒはキュッと目を閉じ、ジェットのなすがままに任せている。
身体のあちこちに、紅の華が散らばっているのが痛々しい。
「全部。オレが、消してやるよ・・・」
その上から、ジェットの刻印を刻み込む。
首筋に、鎖骨のラインに、胸元に、足の内側や肩先に。
きつく吸い上げるようにしてキス落とし、ジェットの痕を刻んでいった。
「やっ・・・」
ハインリヒの口唇から、声が漏れる。
「・・・イヤか?」
尋ねると、瞳を閉じたまま、ハインリヒが首を横に振った。
その瞳から、ポロリと。
涙が零れ落ちていく。
「オレは、オレはっ・・・!」
言いかけたハインリヒの口唇を塞いだ後、ジェットは涙をキスで拭った。
「泣かなくてもいい」
涙の筋を舌で舐め取って。
耳元で、囁いた。
「キミの何もかも全て。愛してるから」
ツプリとハインリヒの中に指を入れると。
「!!」
その身体が、強張った。
奥まで指を差し入れ、男の精を掻き出した。
ハインリヒの中から、白くドロドロとした液体が流れ出る。
全てだしてしまおうと、ジェットは中で指を掻き回した。
ハインリヒの身体が震え。
「あ・・やめっ・・・」
ヒクヒクと、内壁が蠢く。
ジェットの指に、絡みつくようにして。
「ジェットぉ・・・もっ、や・・・」
誘うように、腰が揺れる。
だが、瞳は閉じられたままだ。
その目で見つめられたい。
そう思いながらも、既に、自身が昂ぶっている事をジェットは感じた。
「ハインリヒ・・・」
指を引き抜き、代わりに自身を押し当てた。
「イイか・・・?」
微かに、ハインリヒが頷いたのを合図に。
そのまま、自身を埋め込んでいく。
「ん〜っ!!!」
自身の全てをその中に入れ、腰を動かした。
「ハインリヒ・・・」
名前を呼び、突き上げる度に、
「ああっ!あ・・あ、あぁ・・・っ」
ハインリヒが、切ない声を上げる。
「・・・ハインリヒ・・・」
「ジェット・・・!」
「オレだけを見て、オレだけを感じてくれ・・・」
腰に回した腕を、ぐっと引き寄せた。
「ああ・・ジェット、ジェット・・・」
何度も名前を呼ばれる。
ジェットの存在を確かめるかのように、背中に回された腕に力が入った。
「ハインリヒ・・・」
額に、頬に、瞼に。
キスを落としながら、深く穿つ。
「あ、あ、あ・・!!」
温かな内壁が、強弱をつけながらジェットを締め付けた。
「オレを見て・・・」
涙に濡れた瞳が開き、ジェットを見つめる。
美しい、淡いブルーの瞳。
今は、情欲の色で彩られている。
「ジェット・・・。っ!も・・・」
ハインリヒが切なげに瞳を細めた。
「もう限界?オレもそろそろ・・・」
言いながら、強く揺すり上げると。
「ふあっ!ああん・・っ!!」
「つっ・・・!!」
熱い迸りの全てを、ハインリヒの中に放つ。
「ジェットぉ・・・!!!」
ジェットの名を呼びながら、ハインリヒも自身の腹を白く濡らした。
〜続〜
この連載で、四度目のえっちシーンです。
記念すべき四回目が24えっちで良かった・・・(笑)。
ちょっと淡白な(しかも短い)えっちシーンですが、
どうぞお許しくださいませ。
次回、いよいよ最終話。
短いお話となる予定です。
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