酒と酔い




「たまにはサシで飲もうぜ。」
 そう言って夜も遅くにハインリヒの部屋を訪れた。
 両手に抱えたのは最近飲んで気に入っていた日本の焼酎を何本かと酒を割る為の氷、
 そして苦労しながらも作った肴とで、そんな俺の様子に呆れたのか本を読んでいたハインリヒは苦笑したが、そのまま部屋の小さなテーブルに酒を広げるのを手伝ってくれた。
「まったく、どれだけ飲むつもりだ。」
 酒瓶を並べながらハインリヒはそういったが、互いに殆どザルなのだからこれでも足りるかどうかわからなかった。
「いいだろう?たまにはなんだから。」
 だからそれ以上言及せずに笑みを返すと、早速氷で割った酒を手渡す。
「ああ、じゃあひとまず乾杯。」
 そして床へと座り込んでベッドに寄りかかりながらグラスを合わせると、二人だけのささやかな酒盛りを始める。
 話題は最近のテレビ番組のことなど、とてもたわいないものばかり。
 だがその合間にも互いに遠慮する仲でもないので、容赦なくグラスを煽っていく。
「なあ、ハインリヒ。」
「ん?」
 そしてもう何本もの瓶を空にしたところで、ふと何気なくそう声をかけ隣に座るハインリヒを見たときだった。
 俺はザルというよりもうワクなので、これだけの量を飲んでもほろ酔い間はあっても、顔には全くでない。
 しかし同じくらい強いと言っても、ハインリヒは俺と違って色が白いこともあって、酒の量が過ぎればそれなりに顔にも出るわけで。
 視界に入ったハインリヒはその白い頬を薄く桃色に染めていて、思わずその光景に言葉を失った。
「なんだ、どうした?」
 それを不審に思ったのか、ハインリヒがそう言って首を傾げたが、そんな彼から目が離せなかった。
 いつもよりうっとりとした瞳と、それを彩る美しく長い銀の睫。
 そしてよく見れば頬だけでなく、首筋までうっすらと赤く染めたそんな姿。
「・・・お前さ、たまらなく色っぽいな。」
「は?」
 突拍子もなかっただろう俺の言葉にハインリヒはそう声を発したが、すぐに苦笑すると言った。
「お前酔ってるだろう?」
「・・・確かに酔ってるけど、でもお前がたまらなく見えるのは本当だぜ。」
 そしてもう割ることも忘れて飲んでいた酒の入ったグラスをテーブルに置くと、容易く捉えることの出来たハインリヒの顎を引き寄せる。
「待った。」
 だがそのまま口付けようとした所で、口を開いたハインリヒの至近距離での囁き。
「本気なら改めて酒の入ってないときにして欲しいもんだ。今なら互いに酔った勢いということで流せるが、な。」
「!」
 その言葉にあと少しで触れ合うことの出来た唇をそっと離す。
「なんだ、どうした?」
「それなら改めるさ。俺はどうやらお前に本気になっちまったみたいだ。」
 そう言いながら体を離して、再びグラスに口をつける。
 確かにこのまま酒の勢いということでしてしまいそうだったが、何だかそれでは何の意味にもならない気がした。
 それにもう少し自分の頭を冷やす時間も欲しい。
 これまでこんなに身近にいた彼をこういう視点で見たことなど一度もなかったのだから。
「あ、でもそれなら今はせめてこれだけ。」
 どうやら見かけ以上に酔いがまわっているらしく、既に半分眠りに落ちかかっているハインリヒに苦笑しながらもその体を少し引き寄せて、その頬に一つ口付けを落とす。
「明日から見てろよ。俺は絶対お前を落として見せるからな。」
「・・・何をバカな・・・。」
 そして既に夢の世界に引き込まれながらもまだそんな風に苦笑しながら言うハインリヒの手からグラスを取るとそのまま体を抱き上げてベッドへと乗せる。
 それから軽く後片付けをして、ベッドを見ればそこにあるのは既に穏やかに寝息を立て始めた姿。
 その無防備さに思わずまた一つ苦笑を刻むと、再びその頬にと口付けを落とす。
「おやすみ、俺の姫。」

 酒と酔いとで気付かされた自分の新たな気持ち。
 きっと明日からそれをどう証明していくかとで、大変になるだろうがそれも楽しいかもしれない。
 そんな風に思った酒だけでなく彼の魅力に溺れたある夜の話。




〜END〜








−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

神咲ハヤト様から、お誕生日にと頂戴した24小説ですvvv
野田ジェット&平成ハインのイメージでv
ハインさんが美しく酔ったお姿や、野田ジェの紳士さにクラクラですv
野田ジェ、カッコいいよ〜!!!
と、絶叫v
ハヤト様、素晴らしい24をありがとうございましたvv
できれば、野田ジェがハインさんをゲットしてXXX(笑)
なお話も拝読したいですvv





ブラウザを閉じてお戻りください