貴方は私のもの
(黒い薔薇の花言葉:44:滝川様のイラストのコラボです)




 どうすれば、この男を手元に置いておけるのだろうか?
 そんな事を考える。
 目の前で静かに佇んでいる、この男を。

 手足を切り裂いて、身動きを取れなくしてやろうか・・・。

「アルベルト」
 低く名前を呼びながら、左腕に手をかけた。
「お前は私のモノ・・・。そのことは、承知しているのだろうな?」
 小さく、彼が頷いた。
 その仕草に満足しながら・・・左の腕をもいだ。

 睫毛の一本も動かさずに。
 淡くブルーを纏った瞳がこちらを見上げた。

「アルベルト・・・」

 時折、壊してしまいたくなる。
 けれども、完全に壊してしまっては、面白くもない。
 だから今日は、左の腕だけ。

「クククク・・・」

 喉を鳴らして笑いながら、自分の手の中に納まった腕を見つめる。
 もいだ部分に指を触れると、そこから緑の蔓が伸びてくる。
 小さな棘を身に纏ったその蔓は、二人を繋ぎ合わせるかのようにして、巻き付いてきた。
 蔓が延び終えると、所々に大輪の黒い花を咲かせた。

「黒い薔薇か・・・。私が咲かせるには相応しい花だな」
 ニヤリと唇を歪めて笑うと、美しいブルーが微かに翳った。
「お前には、本来ならば白薔薇が似合うのだろうが・・・一緒にいる相手が悪かったな」

 けれども・・・。

「私に魅入られたのが運の尽きと思って、諦めるのだな」
 白い顎に指をかけ、
「誰がなんと言おうと、お前はもう、私のものなのだから・・・」
 囁くようにして告げると、瞳をそっと閉じた。

「・・・誘っているのか?」
 問いかけながら、唇のラインを指先で辿る。
「私の・・・アルベルト・・・」
 そして、薄く開かれたそこに、己の唇を重ねた。

 黒い薔薇の香気が、微かに辺りを彩った。


  〜 END 〜




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恐れ多くも滝川様のイラストにコラボさせていただいてしまいました。
滝川様の雰囲気のあるイラストイメージに程遠くてスミマセン(汗)。






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