哀愁
(紫の薔薇の花言葉:2→4)

2が思いっきり4に失恋しているので、
拙宅の通常ラブラブ24がお好きな方はお読みになりませんようお願いします。
2がふられても大丈夫!涙を超えて歩いていきます!という方だけお進みください。
警告を無視してお読みになった場合の苦情は受け付けられませんので、ご了承下さい。

























































 どこまでも透き通った瞳が、オレを見つめる。
 その瞳の中でじわじわと滲んでいく自分の姿に、夢の終わりを知った。
 ・・・大分前から、薄々は感じていたけれど。
 気付かない振りをしていただけだ。
「ハインリヒ」
 名前を呼ぶと、黙って涙を零した。
 やるせない気持ちで身体を引き寄せ、抱き締めた。
 嫌われてはいない。それどころか、愛されている。
 けれども、キミの愛の形が変わってしまった。
 それはきっと、家族に対するような愛。
「ハインリヒ」
 情けなく震える声。
 抱きしめているキミの身体も、微かに震えている。
「・・・すまない・・・」
 違う、違う。
「お前のことは好きだ。でも、もう一緒には歩いて行けない」
 そんな言葉が、聞きたいんじゃない。
 鋼の指先が、躊躇いがちにオレの頬に触れる。
「他に誰か・・・好きな人が出来たのか・・・?」
 そう問うと、苦しげな表情になって俯いた。
「すまない・・・」
 要らない、そんな言葉は。
 キミが微かに伸びをして、口唇の端に落とされた優しいキス。
 ・・・要らない・・・そんなキスは。
「・・・ハインリヒ!」
 そっと、口唇に押し当てられる指先。
 実にキレイに、キミは笑んだ。
「さようなら」
 スッと、身体が離れていく。
「ハインリヒ!!」
 このまま腕の中に閉じ込めて、オレだけのものにしてしまいたい。
 けれどもキミは、それを望んではいない。
 去っていこうとする身体を捕まえようと伸ばした腕を、引いた。
「ハインリヒ・・・!」
 今でも・・・心が震えるほどに、キミだけが愛しい。
「・・・愛してる」
 けれども、決して振り向かない背中。
 オレの視界から、消えてしまった。

「くそっ!」

 ものすごい喪失感。
 オレの中で、キミの存在がどれほど大きかった事か。
 苛立ちのまま、ちょうど視界に入ってきた花瓶を叩き落した。
 キミが好きだと言っていた、薔薇の花が床に散らばる。
 淡いピンク色をしていた筈のその花は、窓から差し込む青白い月明かりに照らされて、その色を紫に変えていた。

「・・・ハインリヒ・・・」

 ベッドにダイブして、声を押し殺して泣いた。
 一人寝には・・・広すぎるその場所。

 心が締め付けられるぐらいに・・・やっぱり、キミだけが愛しい。



  〜 END 〜




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言い訳の余地のない話でスミマセン(土下座)!!
自分が思いっきり落ち込んでいる時に、浮かんだ話。
ああ、薔薇お題の「哀愁」に使えるな〜、と思って、
ネタを保管していたものです。
後味悪くてホントにスミマセン。
ちなみに、4が去っていく先は、当然の如く黒4のところです。






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