文字書きさんに100のお題
025:のどあめ
(リュミリモ)
コホコホ。
育成を依頼しに来た少女が小さく咳き込み、リュミエールは眉を顰めた。
最近、しきりに咳をしているような気がする。
「アンジェリーク」
リュミエールは優しく、少女の名を呼んだ。
「はっ、はい!?」
「最近、よく咳をしていますね?どこか具合でも悪いのですか??」
目の前の少女は、パッと頬を赤らめた。
「ちょっと咳だけが止まらなくて・・・。でも、他は元気ですから、大丈夫ですからっ!!」
少し早口になり答えた少女は、再びコホコホと咳をした。
心配そうにその様子に視線をあて、リュミエールはふと、思い出した。
執務机の中。
少し前に自分が咳をしていた時、夢の守護聖が半ば押し付けるようにして置いていった喉にやさしいキャンディー。
そっと机の引き出しを開け、その中にキャンディーの袋を見つけ。
「アンジェリーク」
リュミエールは再度、少女の名を呼んだ。
「はい?」
「キャンディーをお舐めなさい」
取り出したキャンディーの小入り袋をピリピリと破りながら、リュミエールは言った。
白い指先でキャンディーを摘み、アンジェリークの口の中に、それを押し込んだ。
それと同時に柔らかな口唇に触れてしまい、指先が少し、熱を持ったような気がした。
「あ、美味しい・・・」
キャンディーを舐めながら、アンジェリークが呟いた。
「オリヴィエがくれた物ですから、美容にもいいのではないかと思いますよ。私も一粒いただきましょう」
自分の口にもキャンディーを放り込み、リュミエールはアンジェリークを見てクスリと笑った。
「リュミエール様、ありがとうございましたv」
そう言って笑う少女の手の平に、キャンディーを幾つか乗せてやり。
「咳が出た時に、お舐めなさい」
「・・・はい!」
少女は笑顔で執務室を出て行った。
けれども、指先はまだ熱を持っている。
その熱を散らそうと、リュミエールはフ・・・、と、軽く指に息を吹きかけた。
〜 END 〜
短っ!!!という感じですが、久々にアンジェ更新v
このお題はず、ずーっとリュミリモでやろうと思っていたのですが、
ちょっと難しかったです〜(涙)。
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