文字書きさんに100のお題

042:メモリーカード
(菊乾)





 テレビの前で。
 ピコピコとコントローラーを動かして、真剣にゲームをしている。

「いにゅい〜vオレね、新しいゲーム買ったんにゃー!!今度遊びに来て来て!!」
 そう言ってゲームのタイトルを告げると、乾の分厚い眼鏡がキラリと光った。
「是非伺わせてもらうよ、英二」

 そういう経緯で、部活のない休日に、乾を部屋に誘うことが出来た。
 出来た、までは良かったけれど。
 先ほどから乾はゲームに集中しており、自分には全く構ってくれない。

 ・・・淋しい・・・(滝涙)!!

「い〜にゅい〜vvv」
 甘えた声を出して、細い腰にしがみつく。
「うわっ!?コラ、英二・・・!イキナリ驚かすから、死んじゃったでしょうが!?」
「だって乾が、全然構ってくれないのが悪いんだ〜!!」
 ワガママを言って、スリスリする。
「英二は甘えん坊だなぁ・・・、ホント」
 呆れたような。
 けれども優しい声が降ってきて、くしゃりと髪を撫でられた。

 とてもとても、気持ちがイイ。

「もう、ゲームは終わりっ!!」
 言いながらゲーム機の電源を切り、メモリーカードを引き抜いた。
 そして小さなカードを眺めながら、しみじみと呟いた。
「乾の心の中にもメモカーがあったら、『英二好き好き大好き〜!!』って、メモリ領域全部に書き込んじゃうんだけどなぁ〜」

 あ・・・笑った・・・。

「あのなぁ、英二。メモカーなんかに書きこまなくったって、俺はお前が好きだよ?」
 眼鏡の奥の瞳が、笑っている。
 優しく、優しく。
「いにゅい〜!!!」
 何だかひどく嬉しくなって、ギューっと抱きついた。
「うわっ!英二〜!?」
「乾、大好き!!」
「分かったから、離せって・・・!」
「好きにゃーーーー!」
 本当に猫のように、乾にスリスリして。
「ちゅーしよっ、ちゅー!!」
 キスを迫ると、頭を拳骨された。
「痛〜っ!?」
「いい加減にしなさい!」
 シュンとしながら。
 お伺いを立てるようにして。
「でも、オレ、本当に乾が好きだよ?」
 そう言ったら・・・。

 あ、また笑った・・・v

「言っただろ?俺も、英二が好きだよ」
「いにゅい〜っ!!!」
「うわっ!?だから落ち着けよ、英二」
「だって、だって、好きなんにゃー!」
「もう一度、拳固されたい?」
「うっ!?ゴメンゴメン、もうしない」
 眼鏡の奥で、乾が瞳を細めて。
「好きだよ、英二?」
「うんっ!オレも乾が大好きっ!!」
 ニッコリと天使の微笑で、乾が自分の手の中からメモリーカードを抜き取った。
 そして、ゲーム機の電源を再投入。
「と、いう訳で。ゲームを続けさせてもらうからね」
「ええぇ〜!?」
「いいだろう?な??」

 そんなに可愛らしくおねだりされると・・・。

「分かったにゃ!」
「サンキュ、英二」
 そう言ってまた、可愛らしく笑うから・・・。

 ・・・負けた・・・。

 コントローラーを両手に持ち、真剣にゲームに取り組んでいる姿。

 いつかきっと、乾のメモカーにオレのことだけ書き込んでやるんだ・・・!!

 なんて思いながら、ゲームに興じている姿をじっと見つめた。


〜 END 〜


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
こっそりと(?)テニスをアップ、第二弾(笑)。
メモリーカードといえばゲーム!!
取り扱いジャンルのキャラ達は、あまりゲームしなさそうなので・・・。
菊ちゃんとか、ゲーム好きそうvvv
乾さんも、ハマると凄そうです(笑)。





HOME   100のお題