文字書きさんに100のお題
061:飛行機雲
(24)
チチチ・・・。
鳥の鳴く声で、目が覚めた。
カーテンの隙間から、明るく光が射している。
窓の外は、どうやら良い天気のようだ。
ハインリヒはモソモソと、ベッドの上で身体を起こした。
ボーっとしながら洗面台まで移動し、顔を洗う。
服を着て、部屋に戻って。
カーテンを、サッと開けた。
部屋の中が、パッと明るくなり。
「良い天気だ・・・」
呟きながら、ハインリヒは窓を開けた。
初夏の爽やかな風が、部屋の中にスーッと入り込んだ。
「・・・良い天気だ・・・」
ハインリヒの視線が、空を向いた。
蒼い蒼い空に。
二筋、雲が尾を引いている。
「飛行機雲か・・・」
段々と薄れていくその雲を、ハインリヒは瞳を細めて見つめた。
「アイツが飛ぶ時も、時々、こうして空に雲が残ったりしたな・・・」
今、空に輝いている太陽と同じように。
暖かく眩しい笑顔を思い出す。
今頃は、何をしているのか。
顔が見たい、声が聞きたい・・・。
併せて、そんな事まで考えてしまい。
ハインリヒは慌てて、その思いを打ち消そうとした。
今のは無しだ!無しだ!!
ブルブルと頭を振り、フウ、と息を吐く。
その間に、飛行機雲は空の蒼に溶け込むようにして、消えていってしまった。
「さて、と。今日は一日休みだからな。どこぞに散歩にでも出掛けるか・・・」
良い天気だしな、と独りごちて。
窓を閉めようとしたハインリヒの視界に、小さな物体が飛び込んだ。
鳥か・・・?
そう思ったが、見る見るうちにその姿は大きくなって。
一直線に、ハインリヒの窓に向かって飛んで来ている。
近付いてくる『何か』・・・。
何か??
「ハイ〜ンリッヒ〜!!!」
キュキュッと。
それはハインリヒの窓辺で急停止した。
ポカンとするハインリヒの目の前で、パチリと悪戯っぽくウインクして。
「会いたかったから。会いに来た」
顔を・・・見た。
声も、聞けた。
ボーっとしたままのハインリヒを。
スイッと伸びてきた腕が、抱きしめた。
「淋しかった?」
頭上から降ってくる声。
ハッと我に返り、ハインリヒは小声で怒鳴った。
「ばっ、馬鹿っ!誰かに見られたらどうするつもりだ!?」
「じゃあ、部屋に入れてよ」
悪びれもなく、ジェットは笑う。
「イイだろ?」
「分かった!分かったから、さっさと入れ!!」
手招きすると、ジェットは嬉しそうに部屋の中に足を踏み入れた。
「ねえ」
「・・・何だ?」
「オレに会えなくて、淋しかった・・・?」
囁くように尋ねられ、
「・・・知らん・・・」
答えながらも、頬が赤くなったのが分かる。
「赤くなっちゃって。可愛いv」
「・・・頼むから、少し黙れよ」
言いながら、パタリと窓をしめたハインリヒの目に映ったのは。
蒼い空に、ジェットが描いた、飛行機雲。
〜 END 〜
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424デーなので、なんとか24でひとつ!!
と、根性で書きました!!
短くてスミマセン。
訳の分からん話でスミマセン。
書いてる本人は、これだ!!
とか思って書いたんですが・・・。
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