文字書きさんに100のお題

089:マニキュア
(ヴィエリモ)





 夢の守護聖の執務室。
 執務机に向かっているその人は、ご機嫌な様子で鼻歌などを歌っていた。
「んふふ〜♪」
 オリヴィエは目の前に左手をかざし。
 爪の辺りに、ふう、と息を吹きかけた。
「ああ・・・!なんてキレイな色なんだろう・・・vvv」
 一人、ご満悦である。
 とある惑星から取り寄せた、新色のマニキュア。
 これを、オリヴィエは自身の爪で試しているのであった。
「美しさを司る者としては、何でも試してみないとね〜vvv」
 などと言いながら、楽しげに爪に塗っている。
 執務机に置かれているマニキュアの色は、パープル。
「でもね〜。一塗りするだけだと、爪にパールの透明に近い白を塗った感じなんだよねv」
 誰にともなく言いながら、オリヴィエは爪にもう一塗り、マニキュアを重ねた。
 そして再度、ふう、と爪に息を吹きかけた。
「重ね塗りをするとキッチリとパープルになるし、この色を開発した職人はグッジョブだよ!」
 乾きかけの爪を気にしながらも、オリヴィエはビッと左手の親指を立てた。
「さて、右手にも塗ろうかな〜vvv」
 嬉しそうにオリヴィエが呟いた時。

 コンコンコン。

 ドアを、ノックする音がした。
(ヤバッ!!まさかジュリアスじゃないだろうね!?)
 オリヴィエは一瞬身構えたが、それは杞憂に終わった。
「オリヴィエ様、いらっしゃいますか??」
 ドアの向こうから聞こえてきたのは、アンジェリークの声だった。
 オリヴィエは、ニヤリと笑った。
「ん〜ふ〜ふ〜♪お入り、アンジェリークvvv」
 ご機嫌な声でアンジェリークを呼ぶ。
 アンジェリークが、ドアの影から顔を出した。
「こんにちは、オリヴィエ様」
「いらっしゃ〜いvささ、こっちにおいでvvv」
「・・・オリヴィエ様、何か企んでいらっしゃいます?」
「私が何を企むっていうのさ!今日のお願いは何だい?さ、何でも言ってごらん!!」
「・・・絶対に、怪しいです・・・」
 ニーッコリとオリヴィエは笑う。
「んふvじゃあ言っちゃうけどね。新色のマニキュアを取り寄せたんだ。アンタにもきっと似合うと思うよ」
 オリヴィエは問答無用と言わんばかりにアンジェリークのほっそりとした手を取った。
「というワケで、アンタの可愛い爪にも塗らせてちょうだい」
 アンジェリークの返事も待たずに、オリヴィエはイソイソとマニキュアの瓶を手に取った。
 そして、丁寧にアンジェリークの爪に塗っていく。
「ああ、幸せ〜v」
 オリヴィエはとても満ち足りた表情をしていた。

 アンジェリークの爪にマニキュアを塗り終え、オリヴィエは満足そうに息を吐いた。
「カ・ン・ペ・キ!どう?バッチリ綺麗に塗れたでしょ♪」
「え?オリヴィエ様、このマニキュアってパープルですよね?」
「よくぞ聞いてくれたね!これはね、パッと見るとパープルなんだけど、薄く塗るだけだと、爪を透明パールでコーティングしたような感じになるんだよ!!スゴイだろ!?」
 意気込んでそう答えた後、オリヴィエはニッと笑った。
「重ね塗りをすると、ちゃーんとパープルになるけど・・・やってみる??」
「そこまでは・・・。遠慮しておきますねv」
「ま、今日はここまでで許してあげよう」
 嬉しそうな笑顔のまま、オリヴィエはもう一度、アンジェリークの手を取り。
チュ、と、手の平にキスをした。
「オリヴィエ様っ!?」
「楽しい思いをさせてくれたお礼だよ〜んv」
 アハハハと声を立ててオリヴィエが笑うと。
 プッとふくれていたアンジェリークの頬も緩み、彼女もオリヴィエと一緒になって笑った。

「あ、そうそう。今日は私に何の用だったんだい?」
「育成をお願いします」
「了解。たーっぷり力を送っておくからね〜vvv」


〜 END 〜





恋愛未満な雰囲気が満載のヴィエリモです。
仲がイイ姉妹のような感じになってしまいました(涙)。
オリヴィエ様って、書いていて楽しいです。
難しいですが・・・。
皆様にも楽しんで頂けたら嬉しいです。






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