ロイエンタール&リモージュちゃん
(ロイリモ妊婦編)
その日はいつものように始まった。
「オスカー!朝よ、起きて。」
ロイエンタールは、愛する妻の声で目を覚ました。
「アンジェリーク、おはよう。」
「朝食ができてるわ、早く来てね。」
「ああ・・・、アンジェリーク?顔色が悪いように思えるのだが。」
寝起きでもアンジェリークのことには目敏いロイエンタール。
「大丈夫か?具合が悪いのならこんなに早くから起きるんじゃない!すぐに医者を呼ぶから・・・。」
「オスカー!大丈夫よ、少し眩暈がしただけ。そんなに大げさにしないで。」
「しかし・・・。」
「さあ、仕事に遅れてしまうわ、朝食にしましょう。」
それ以上ロイエンタールには言わせず、アンジェリークは食事を済ませるといつものように仕事に送り出した。
「いいな!医者に見てもらうんだぞ。」
明らかに行きたくなさそうな夫を無理やりに仕事に行かせ(笑)、アンジェリークは一息ついた。
「ふう、オスカーったら過保護なんだから。もうすぐ親になるのに、大丈夫かしら?」
アンジェリークは優しい目をしてお腹を撫でた。
------その頃のロイエンタール------
当然のコトながら悩んでいる(笑)。
『アンジェリークがなにか悪い病気だったらどうしよう−−−。』
「おはようございます、閣下」
『ただの貧血ならいいのだが、もしも命にかかわるようなことだったら・・・!』
「・・・・・・・・・。」
「閣下?どうなされたのですか?」
「よう、ベルゲングリューン、どうした?」
「ロイエンタール閣下のご様子がおかしいので。」
「こいつがおかしいのはいつものことなんだが・・・、ロイエンタール!」
「・・・・・・・・・。」
『やはり心配だ、帰って医者を呼んだほうがいい。あいつは自分のことになると無頓着だから、きっと医者など呼んでいないだろうし。』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
『いやしかしここで帰ったらアンジェリークがなんと言うか・・・。』
「おい!ロイエンタール、どうした?」
『愛する妻を心配してなにが悪い!やはりこれから帰るとしよう。』
そうと決まれば時間が惜しい、とばかりに踵を返そうとしたロイエンタールをミッターマイヤーが捕まえた。
「おまえ、どこへ行く気だ?」
「ベルゲングリューン!今日は休む、後は頼んだぞ。」
ミッターマイヤーの腕を振り払うと、ロイエンタールは降りたばかりのランドカーに再び乗り込んだ。
「閣下!?お待ち下さい!」
「あきらめろ。あいつがあんな状態のときは、何を言っても聞かん。」
・・・どうせアンジェリークが関わっているのだろう・・・。そう納得すると、今日の仕事を思って悲壮な顔をしているベルゲングリューンをおいて、自分の執務室に向かっていった。
再びロイエンタール邸
今日はお客様の予定は無かった筈なのに・・・
外から聞こえたランドカーの音に首を傾げると同時に、
「アンジェリーク!大丈夫か?」
「オスカー、お仕事はどうしたの?」
「仕事なんかよりおまえの方が大事だ。医者には見せたのか?」
内心その台詞に喜びながらも、病気ではないことを知っているアンジェリークは幾分申し訳なさそうに
「大丈夫よ、病気ではないわ。心配かけてごめんなさい。」
「起きていて大丈夫なのか?まだ顔色が悪い、休んでいなければ駄目じゃないか。」
無理やりに抱き上げて寝室に連れて行こうとする夫に、アンジェリークは
「ねえ、本当に大丈夫だから降ろして?報告もあるし。」
やや疑わしいまなざしをしながらも、先程より頬に赤みがさした妻の顔を見てしぶしぶとソファーに降ろす。
「報告?何か変わったことでもあったのか。」
「ええ、とっても素敵なニュースよ!あなたも座って」
アンジェリークの隣に座ると、続きを促すように優しく見つめる。
「あのね・・・、私達に家族が増えるの。」
「子供が・・・?」
「どうしたの?喜んでくれないの?」
「そんなことはない!・・・・・・、ありがとうアンジェリーク。」
「うふふ、男の子かな〜?それとも女の子かな?どっちでも嬉しいけど。」
「おまえに似た子ならどちらでもいい。」
「あら、どうして?私はあなたに似た男の子もいいな。」
「愛しいものに似て欲しい、と思うのは当たり前だろう?」
そういうとロイエンタールはアンジェリークを抱きしめた。
「本当にありがとうアンジェ。暖かい家庭など思ってもみなかった。おまえはいつでも俺に幸せをくれるのだな。」
「これからもっと幸せになるのよ?一緒にね。」
産まれた子がどちらだったかはまた、別の話。
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いつも当サイトにきてくださっている、
茉莉花猫さまからいただいた、ロイリモ小説です!!
これが初創作、というコトなのですが、そうは思えない面白さ。
ロイがリモちゃんを心配して悶々とするシーンなどは、本当に目に浮かびそうですよね(笑)。
年賀状代わりに、といただいたのですが、
自分で独り占めするにはあまりにももったいないような気がしたので、
お願いしてアップさせてもらいました♪
また是非、書いていただきたいです〜
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