レイチェル&エルンスト

響羅様のちゅー同盟バレンタインフリーイラストの中から、またまたイラストをいただいてきました♪
レイチェル&エルンストさんです。
自分が普段あまり書かないので、女の子からのキス、という構図がとっても新鮮です。
余裕たっぷりのレイチェルと、驚きの表情のエルンストさんが対照的で、そんなところも好きです。
そして、このイラストから、会話が聞こえてきてしまう私って・・・。
これも響羅様のイラストのなせる魔法ですね!
というワケで、このイラストにもふみふみのへっぽこストーリーを加えさせてしまいました。
イラストのキスシーンに対して私の妄想(笑)と、その蛇足、という感じです。
読んでやろう、という方は、↓へどうぞ。






「ちょっとぉ、エルンスト!聞いてるの!?」
 不満の要素を多分に含んだレイチェルの声が、エルンストの耳に届く。
「ええ、聞いていますよ、レイチェル。新宇宙も安定しているので、女王陛下のお許しを得て、私に会いに来てくれたのですね?」
 書類から目を離さない(離せない?)状態のまま落ち着いた声音で返答するエルンストを、レイチェルは苛立たしげに見つめた。
「この多忙な、新宇宙の女王補佐官であるワタシがせっかく会いに来てるのに!もっと嬉しそうな顔でもしたらどうなの!?」
 エルンストは人差し指でクイっと眼鏡を押し上げ、やれやれ、といったような視線をレイチェルに走らせた。
「レイチェル、暫くお静かに願いたいのですが?あと少しで、考えがまとまりそうなので。それに、そんなに忙しいのでしたら、陛下のお側を離れない方がよろしいのでは?」
「・・・うるさいっ!そんなのワタシの勝手でしょ!?」
 エルンストの言葉は正論なだけに言い返すこともできず。レイチェルは思いっきりふくれっ面になって、側にある椅子を引き寄せ乱暴に腰掛けた。
(んもう、エルンストなんて、大っ嫌い!!)
 そう思いつつも。
 一心不乱に書類を眺め、書き込みしつつ自身の頭脳コンピュータを働かせているエルンストの表情は真剣そのもので。
(こんなトコロも好きなんだから仕方ないか・・・)
 いつの間にか穏やかな表情になってエルンストの仕事ぶりを見つめるレイチェルなのであった。
 しばらくの後。
「よし。これで大丈夫ですね」
 トントンと机の上で書類をまとめながら、エルンストがレイチェルに視線を移した。
「お待たせしました、レイチェル」
 書類を見つめているときとは全く違う優しい瞳に、レイチェルは腹を立てたこともすっかり忘れて、嬉しい気分になる。
 その瞳をもっと良く見つめたくて。
 レイチェルの手がエルンストの顔面に伸び。
 彼のトレードマークである眼鏡を、奪い取った。
「レイチェル!?」
 いきなりぼやけてしまった司会に、エルンストが動揺の声をあげる。
(エルンストの瞳って、ホントにキレイだよね。ただ一つの真実だけを探しているから、こんなにキレイなのかな・・・?)
 そんなことを思いながら、レイチェルは空いているほうの指で、エルンストの鼻先をつついた。
「ねえ、エルンスト。ちゃんと大人しくしてたんだから、ご褒美ちょうだい!」
「はあ。・・・ご褒美、ですか?」
「そう!ご褒美!!」
 言うが早いが、レイチェルはエルンストの首に腕を回し、グイっと引き寄せた。
 腕の中でエルンストの動きが固まるのが分かったが。
 そんなことにはお構いなしで、レイチェルはエルンストの形の良い唇に、自分の唇を押し当てる。
「・・・・・・・・・」
 エルンストの手の中で綺麗にまとめられていた書類が、無情にもバサバサと音を立てながら、辺りに散らばっていった。

 長いキスから開放された後。
「レイチェルっ、困ります、いきなりっ!書類がバラバラになってしまったではないですか?はっ!?それに、私の眼鏡をそろそろ返していただかなくては」
 色気も何もないエルンスト発言にいささかガッカリした表情を見せながら。
「書類ぐらい、後でワタシが一緒に拾ってあげるわよ。それより、エルンスト?眼鏡を返して欲しかったら、愛してるっていいなさい!」
 そう言ってエルンストを睨んだが、その瞳は笑っていた。
 が、とにかく視界がぼやけているエルンストには、レイチェルの表情までは分からず。
「あっ、愛してる、ですって!?」
 狼狽して、赤くなった。
「そうよ。恋人同士なら、それぐらい当然でしょ?せっかく二人っきりなんだし、たまにはそれくらいサービスしてよ」
「ですが、それは気持ちの問題でして、そう軽々しく言うものでは・・・。それに、言わなくても、私はいつだってあなたを・・・」
 ごにょごにょと消えていった語尾こそが、レイチェルの聞きたい言葉だったが、その言葉はエルンストの唇の中に飲み込まれてしまった。
「たったの5文字だよ。言うの、言わないの!?」
 詰め寄るレイチェルに、エルンストは気持ちを落ち着かせようとして、眼鏡を指先で押し上げようとした。が。
 肝心の眼鏡がない、という事実に改めて気付き、狼狽の度合いを高める。
「どうなの!?」
 更に詰め寄るレイチェルに、エルンストは困惑の眼差しを投げかけて。
「私にとっては、たったの5文字ではないんですよ、レイチェル?」
 そう言って、大きく咳払いした。
「あの、その・・・レイチェル・・・」
「何??」
 期待感にキラキラと瞳を輝かせるレイチェルに、エルンストはぎこちないながらも真剣に告げた。
「愛しています・・・」
 急に視界が開けて、レイチェルが眼鏡を返してくれたことにエルンストは気付く。
 それと同時に、エルンストの目の中に飛び込んできたのは。
 エルンストにとって世界で一番大切な女性の、幸せそうな笑顔だった。
「嬉しい!ありがと、エルンスト!!」
 ギューッと抱きついてくるレイチェルをエルンストは優しく抱きとめ。
 やっぱりぎこちないながらも、今度は自分から。
 レイチェルの愛らしい唇に、キスを落としたのだった。



 〜 END 〜



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