〜彼の事をきかせて〜
キャラ説明に使えるかもしれない十題


03:アシ
(ゼフェル様のこと)




「アンジェリーク!!!」
 窓の外から、大きな声で名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
「いるんだろ?出て来いよ!!」
 声の主が誰かは、流石に分かっている。
 しかし・・・。
「??」
 一体、どんな用事が・・・?
 特に思い当たる事もなく、アンジェリークは頭の中をクエスチョンマークでいっぱいにしながら、自室の窓を開けた。
「ゼフェル様、何かご用ですか??」
 窓の下には、鋼の守護聖。
 赤い瞳を得意げに輝かせながら、アンジェリークに大きく手を振った。
 アンジェリークの顔に、パッと笑みが浮かぶ。
 ゼフェルのその表情が、アンジェリークは好きだった。
「へへっ。おめーにイイモン見せてやるぜ。だから、とっとと降りて来いよ!」
「イイモノって、何ですか??」
「見りゃ分かるって。とっとと来いよ」
「えっと、ちょっと待ってくださいね〜」
 窓をパタンと閉めて。
 アンジェリークは慌てて部屋を出た。
 あまり待たせると、また怒鳴られるに違いない。



 外に出るや否や、腕を掴まれ、ズルズルと引きずられるようにして何処かに連れて行かれる。
「ゼ、ゼフェル様〜??」
「イイから黙って付いて来な」
 ゼフェルの声は、どこかウキウキと弾むようで。
 連れて行かれる先に何があるのだろうかと、アンジェリークはドキドキした。

 そして、ゼフェルが立ち止まったその場所には・・・。
「見ろ!!」
「うわぁ〜!」
 それは、まるでバイクのような乗り物。
「オレが作ったんだぜ!!」
「ホントですか??」
「んなコトで嘘ついてどうすんだよ?」
 ゼフェルの表情は、相変らず得意げだ。
「このバイクはな、ただのバイクじゃないんだぜ?」
「え??何なんですか?教えて下さい〜」
 フッフッフ・・・。
 ゼフェルは嬉しくてたまらないといった風に笑う。
「なんと!このバイクは空を飛ぶ!!エアバイクだぜ〜」
「すごいっ!すごいです、ゼフェル様!!」
「乗せてやろうか?」
  アンジェリークの瞳が、ゼフェルに負けじと輝いた。
「ホントですか!?嬉しい!!よろしくお願いしま〜す!!」



 フワリとエアバイクが宙に浮かんだ。
「キャーvvv」
「しっかり?つかまっとけよ!!」
「は〜い!」
 アンジェリークの腕が、ゼフェルの腰をキュッと掴んだ。
 柔らかな腕の感触に思わずドキリとしたが、ゼフェルはブルブルと頭を振って邪念を払った。
 しっかりしろ、オレ!!下心があって、コイツを誘ったわけじゃねえだろうが・・・!!
 毎日頑張っているアンジェリークに、少し気晴らしをさせてやりたかったのだ。
 青い空の下、エアバイクは走る。
 風を切って。
「       !!」
 アンジェリークが背後で何か言っているのが聞こえたが、言葉を聞き取ることができなかった。
「なんだ!?もっとデカい声で言わねえと聞こえねえぞ!!」
「すっごく気持ちイイですっ!!!」
「そっか・・・」
 ゼフェルの瞳がスッと細くなり、その頬に満足そうな笑みが浮かんだ。
「おめーがさぁ・・・」
「え??なんですかぁ??」
「おめーがどうしても、って言うなら、またいつでも乗せてやるからよ。そん時は、遠慮なくオレに言えよ。いいな?」
「・・・はいっ!」
 何だか、いい日だよなぁ・・・。
 ゼフェルは思った。
 アンジェリークと二人、真っ青な空の中を走る。
 ホンット、気持ちイイぜ・・・。
「スピード上げるからな!気ぃ付けろよ!!」
「はーい!」
 エアバイクがスピードを上げて走る。
「キャーvvv」
 悲鳴を上げながらも、アンジェリークの声は嬉しそうだ。
「とーっても楽しいです〜」
「そっか!!」

 楽しげな笑い声が響く。
 爽やかな、風の中で。

「ゼフェル様、今度はもっと、遠くまで連れていてくださいねv」
「おう!任せとけ!!」
 背後から聞こえてくるアンジェリークの声。
 今はきっと、太陽のような笑顔で笑っているに違いない。
 そう思いながら、ゼフェルはドンと胸を叩き。
 背後を振り返った。



〜 END 〜





今回のお題「アシ」ですが、車とかバイクとか自転車(笑)とか、
アシになるもの、という意味のお題です。
なので、ゼフェル様のエアバイク登場。
今回のお話では、まだアシという感じではありませんが、
今後はリモちゃんを乗せて色んな場所に行くはずなんで(笑)。
ゼフェリモ〜vvv




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