〜彼の事をきかせて〜
キャラ説明に使えるかもしれない十題


07:表情
(オスカー様のこと)




 聖殿の中庭が良く見えるその場所で。
 通路の手すりに肘を付いて、遠くを見つめている。
 とても、真剣な顔で。
 いつも私たちをからかっている顔とは、全然違う。
 私は、ちょうど聖殿に向かう途中。
 その顔をじっと見つめながら、歩く。



 ふと、視線がこちらに向いて。
 その先に私の姿を認めると、ニヤリと微笑んだ。
「よう、お嬢ちゃん」
 ヒラヒラと私に向かって、手を振ってみせる。
 私たちが、良く目にする表情で。
「こんにちは、オスカー様」
 挨拶をすると、オスカー様は、スッと瞳を細めて私を見つめた。
 今度は、とても優しい顔で。
「育成のお願いか?」
「はい」
「誰のところに用がある?」
「オスカー様です」
「俺に用なら・・・。そんな所に立っていないで、執務室までどうぞ、お嬢ちゃん」
「今から伺いますね」
 クルリとオスカー様は私に背を向け、今、オスカー様がどんな顔をしているのかが、私には分からなくなる。



 それから、執務室にお邪魔して。
 育成のお願い。
「それでは、失礼します」
 そう言って、退出しようとすると。
「おいおい。そりゃあないだろ、お嬢ちゃん?」
 少し慌てたように、オスカー様が私を呼び止めた。
「せっかく来たんだ。少しお茶でも・・・な?」
 言いながら、ひどく、魅力的な顔をして笑う。
 その笑顔で、聖地中の女性の心を攫っているのだ。
「一緒にケーキにでも付き合うぞ。どうだ?」
 私が甘いものに弱いということも、しっかりと把握している。
 本当に、本当に・・・。
 女性の敵なんだから。
 けれども。
「・・・ご一緒します」
 答えたら、少年のような顔をして笑った。
「そうか!お嬢ちゃんのために、オリヴィエからリサーチしたとっておきの店に連れて行こう」
 差し伸べられた手を、遠慮がちに取った。
「さあ、お嬢ちゃん。出掛けようぜ」
 甘い笑顔が、心臓に悪い。


 クルクルと変化する、オスカー様の表情。
 どれが本物のオスカー様なのかしら?
 時々そう思うけれど。
 でもきっと、全部が本当のオスカー様だから。
 どの顔も、私はとても好き。


 青い空の下、オスカー様と歩く。
 気持ちいい風に吹かれて、ご機嫌な二人。
 隣のオスカー様の表情は、とても穏やか。
「気持ちイイですね、オスカー様」
「ああ、いい天気だ・・・」
 ずっとずっと、オスカー様を見ていられたらイイな。
 そして、もっともっと、色んなオスカー様の表情を見てみたい。

 そんなことを思う。
 青い空の下で。



〜 END 〜





オスカー様の登場です。
某サイト様のオスリモ小説を読んで、オスリモ書きたくなって(笑)。
オスカー様って、私の中では結構、表情が多いイメージです。
真面目だったり、ちょっとおちゃらけたり、時々少年みたいだったり。
(↑妄想が過ぎていたらスミマセン)
そんなオスカー様をイメージして、リモちゃん視点で。




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