「アルベルト、服を脱げ」
 突然の言葉に、ハインリヒは眉を顰めて男を見つめた。
 また何か妙な事を考えているのだとは思ったが、この男の気まぐれは、今に始まったことではない。
 身体ごと、心ごと。
 ハインリヒを捕らえて放さない男。
 ふう、と小さく息を吐いた後。
 ハインリヒはシャツのボタンに手をかけ、ボタンをプチプチと外していった。
 ニヤニヤと笑いながら、男はその様子を眺めている。
 パサリと音を立て、白いシャツが床に落ちた。
「こちらへ・・・」
 言われるがままに、男の側に近付いた。
 男の側のテーブルには、銀色のボール。
 無造作に、男はその中に手を突っ込んだ。
 ボールから上げられた指に絡みつく、茶色の液体。
 鼻先をくすぐる甘い香りで、ハインリヒはそれがチョコレートだと気付いた。
「ククク・・・」
 実に楽しそうに笑いながら。
 男は長い指を伸ばし、ハインリヒの頬に触れた。
 撫で上げられた軌跡が、白い肌に褐色の線を描いた。
 低く、喉を鳴らして笑い。
 男が背後からハインリヒを抱き締めた。
 再度、片手をボールの中に突っ込み。
 首筋から鎖骨にかけて、デコレーションされる。
 溶けたチョコレートを絡めた男の手が、身体中を這い回る。
 固く尖った胸の突起に触れられ、
「んっ・・んん・・・」
 思わず、声を漏らしてしまうと。
「アルベルト。これからたっぷりと可愛がってやるぞ・・・」
 低い声で耳元で囁かれ。
 これから与えられるだろう快楽を思い、ハインリヒは微かに身を震わせた。



 いつの間にか一糸も纏わぬ姿にさせられて、ほぼ全身が、チョコレートまみれになっている。
「なかなかいい眺めだな・・・」
 全身を舐めるようにして見つめられる。
 それだけで、ハインリヒは身体の中心が熱を持ったような気持ちになった。
 ペロリと男の舌がハインリヒの頬を舐めた。
 そして、口唇が重なる。
 そのキスは、甘い味がした。
 ハインリヒの身体を舐め回しながら、男の指先は器用に、ハインリヒの感じる部分に触れていく。
「・・・やっ・・あ・・・」
 中心部に指を絡められ、ちゅくちゅくと音を立てながら、愛撫される。
「ダメだ・・、やめ・・!うあっ」
 ガクガクと、膝が震える。
 自分の身体を支えることが出来ず、ハインリヒは男に縋り付いた。
「アルベルト」
 耳元で名前を呼ばれると、ゾクゾクと背中に震えが走った。
「ふっ、ん・・・」
「・・・アルベルト・・・」
「もっ・・・!はっ・あ・・!!!」
 たまらず、男の手のひらの中に感じた証を吐き出してしまう。
 男はその手の平をハインリヒに見せ付けるようにして持ち上げた。
 そして白濁した液体と茶色の液体が混じったそれを、男は美味そうに舐め上げる。
 思わず視線を逸らすと、低い笑い声が耳に流れ込んできた。
「どうした、アルベルト?今更恥ずかしがることもあるまい」
 壁に押し付けられ、男の指がハインリヒの奥を探った。
「や・・っ!壁が、汚れる・・・!」
「構わん」
 ひどく近い位置で、男が口唇の端を上げて笑った。
「アルベルト・・・もっと私を楽しませろ」
 中で蠢いていた指が引き抜かれ、代わりに男の物が宛がわれた。
深く貫かれる。
「・・くぅっ。は・・」
 男の身体にしがみ付いたまま、ハインリヒは与えられる快楽の波に溺れる。
「あ、あ、あ・・」
「・・・アルベルト・・・」

 男の欲望を受け止め、ハインリヒは濡れた瞳で男を見つめた。
「お前が満足いくまで・・・もっと・・・」
「フ・・・」
 男の頬に、笑みが浮かぶ。
「では、お言葉に甘えるとするかな・・・」
 軽く揺すり上げられ。
「ふあっ・・・!!」
 ハインリヒはギュッと、男の背中を抱き締めた。



   
〜END〜




N様の素敵バレンタイン黒44イラストに、
不肖管理人がSSを付けさせていただきましたvvv
妄想力を刺激するイラストを拝見できるのは、
文字書きとしての最大の喜びでございますv
へっぽこではございますが、
N様、SSをつけるご許可を賜り、本当にありがとうございましたvvv



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