2003年バレンタイン14
*注意*
スミマセン(滝汗)。
この話、ハインがちょっとギャグモード入ってます・・・。
カッコいいハインしか見たくない人は、
お読みにならないで下さい。
よろしくお願いします!!
読んでしまってからの苦情はご遠慮くださいませ〜
今は朝から、イワンの様子がおかしい。
オレの顔を見ては、ニコニコニコニコと満面の笑みを見せる。
フランソワーズに言わせると。
「あらぁ!イワンがアナタを見てニコニコするなんて、いつものコトじゃない!?」
ということらしいが。
「違うんだ、フランソワーズ!アレは、いつもと違うニコニコ笑いなんだっ!!」
「ハイハイ、ご馳走様v」
「待ってくれ、話を聞いてくれ、フランソワーズっ!」
・・・本当に、違うんだ。
オレに言わせれば、今日のニコニコ笑いは、いつもと違うニコニコ笑いだ。
何かを待っているような。
何かをねだるような。
そんな表情で、ニコニコと微笑んでいる。
・・・オレは一体、何を要求されているのだろう?
微笑まれるだけでは、さっぱり分からない。
こういう時、イワンは決まって何も言わず、ただ微笑むだけなのだ。
オレが自分で、その『何か』に気付くか、もしくはイワンに降参するまで。
少し意地の悪い態度だとは思うが、大体その『何か』は、オレにとっても嬉しい『何か』で。
それを知っているからこそ、イワンはただ黙って微笑んでいるのだろう。
オレが、ちゃんと気が付くまで。
しかし。
どうしても、今日のイワンのニコニコ笑いの意味が分からない。
いつもならば、何となく心にひっかかる『何か』があるのだが、今日はそれさえも浮かんでこない。
このまま、イワンに降参するのか?
チラリとイワンに視線を走らせると、イワンとばっちり視線が合った。
ニッコリvvv
ハートマークが辺りに飛び散りそうな極上の笑顔でイワンが微笑む。
オレは慌てて、イワンから視線を逸らした。
・・・やっぱり、何が何だか分からない・・・。
イワンの微笑みの意味が分かったのは、昼を過ぎてからだった。
買い物から帰ってきたフランソワーズが、オレ達皆にチョコレートを配ってくれた時だ。
「今日はバレンタインデーよ♪みんなどうせ、チョコをくれる女性なんていないでしょ?優しいワタシから、プレゼントよ〜vvv」
そう言って、フランソワーズは一人一人にチョコを配り歩いている。
オレも、青いリボンがついたチョコレートの箱を一つ、貰った。
フランソワーズは、そのままイワンの方に歩いていき、チョコを渡した。
「はい、イワンv」
チョコを手渡されながら。
「ねえ、フランソワーズ。これは、姉から弟へのチョコだよね?義理だよね??」
イワンがやっぱりニコニコと笑いながらフランソワーズに尋ねた。
「あら?本命チョコだったら、受け取れないの??」
クスリとフランソワーズが笑と、大真面目にイワンは答えた。
「もちろん!本命チョコは、一番好きな人から貰いたいでしょ?」
一体どこから、本命チョコだのバレンタインだの、そんな情報を仕入れてくるのやら。
などと人事のようにその会話を聞いていたオレだったが。
「ふふっ。じゃあイワンは、誰から本命チョコを貰いたいの??」
「えー?それは、ナイショだよ!!」
視線を、感じる。
内緒、と言いながら、イワンがじっとオレを見つめている・・・ような気がする。
瞳の端で、恐る恐るイワンの様子を伺うと。
音がしそうなぐらいに激しく、イワンの視線とぶつかってしまった。
イワンが、笑う、笑う。
無敵のエンジェル笑顔で。
「ボクの大好きな人は、世界中で一人だけだもん!」
言いながら、その砂色の瞳がしっかりと、オレを見ている。
オレか!?イワンがチョコを貰いたい相手は、オレか!?
すっかり、忘れていた。バレンタインデーにチョコレートなんて。
そんなもの、くだらない日本オンリーの風習じゃないか。
菓子会社の陰謀に踊らされるなんて、馬鹿馬鹿しい。
しかし、キラキラと眩しく輝くイワンの期待に満ちた微笑みの前では、そんな主張は無意味と化すに違いない。
どうする、どうするんだ、オレ!?
オレは座っていたソファからギクシャクと立ち上がった。
とにかく、この場から逃れなくては!!
オレの本能が、そう訴えていた。
イワンの視線を痛いぐらいに背中に感じながら、オレはやっとの思いでリビングから退出し、廊下に出た。
そして、ホッとしたのも束の間。
背後で・・・イワンが、クスリと笑う声が聞こえた。
「ハインリヒ?」
優し〜い声で、名前を呼ばれる。
「なっ、なんだ?」
やはりギクシャクと振り返ると、
「ね、ハインリヒ。何か、忘れてない??」
ニコニコと微笑んでいるが、砂色の瞳は笑っていない。
その瞳には大きく『チョコレートvvv』と、書かれていた。
チョコはないんだ、イワン!
そんな風習、すっかり忘れていたんだ!!
「イワン・・・」
正直にチョコレートを準備していないと告げようとしたオレだったが。
「なあに??」
キラキラと輝くその瞳に、くじけてしまう。
「その・・・だな」
モゴモゴと口の中で、言葉が消えていく。
「ハインリヒv」
アタフタするオレを見て、イワンがニコリと笑う。
「こんなに愛し合ってるボク達だもん!今日が何の日か忘れてた、なんて、ないよね?」
すまん、イワン!!
本当に忘れていたんだ!!!
「〜〜〜〜っ!!!」
オレは、言葉に詰まる。
イワンはクスリと、大人びた笑いを見せる。
「なんてね、冗談だよ。ハインリヒって、そーゆー世俗に疎いもんね。最初っからチョコなんて期待してないよ」
ホッと、胸を撫で下ろすと。
イワンの瞳がキラリと鋭い光を放った。
「でもね?大好きな人に、大好きって気持ちを伝えるコトは、とっても大切なコトだと思うんだけど?」
「それはそうだな・・・」
「じゃあ、好きって言って!」
え?今、ここでか??
オレの表情を目ざとく読み取り、イワンは続けた。
「今すぐ、ボクのこと好きだって言ってv」
カァッと頬が赤くなったのが分かった。
「ボクは何百回だって言えるよ?ハインリヒ・・・大好きだよ!」
ますます、頬が赤くなっているような気がする。
「すっ・・・」
「す???」
「すすすっ・・・」
「あのねぇ、ハインリヒ?どもってたって、分からないよ??」
腰に手を当て、イワンがオレを見上げる。
大きく、深呼吸をして。
「・・・好きだぞ、イワン・・・」
やっとのことでそう告げたら。
オレの目の前で、イワンの笑顔が弾けた。
ちょいちょいと手招きされ、腰をかがめる。
首に腕を回され、驚く間もなく唇にキスされた。
「・・・っ!イワンっ!!」
「大好きだよ、ハインリヒ!」
イワンが、笑う。
オレの好きな笑顔で。
「チョコレートの代わりに、チョコより甘くて美味しいハインリヒの唇をいただいちゃった♪ご馳走様vv」
「イワンっ!!!!」
「・・・大好きだよ・・・」
急に真面目な顔になってそんなコトを言われると・・・心臓に悪い。
そんな大人びた眼差しで見つめられると・・・。
いつまでも、このオレを好きでいてくれ。
オレもずっと、好きでいるから。
そんな思いを込めて。
イワンの頬を両手で挟み、そっとキスをした。
「ハインリヒ!?」
いつもの大人びた顔とは違って、驚いた顔は、年相応だな。
チョコレートはないけれど。
お前が甘くて美味しいと言ってくれる、オレのキスで我慢してくれるよな?
・・・ハッピーバレンタイン、イワン。
〜 END 〜
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2003年のバレンタイン14です。
少年イワンのイメージでどうぞ。
ベタ甘〜っ!!!というコトは、自分でも良く分かっております。
申し訳もありませんっ!
し・か・も。ハインリヒが微妙にギャグモードに突入しております。
好みが分かれるお話かな・・・。
ま、でも14ですから!天下無敵で唯我独尊のイワンが書けて満足。
管理人、一人満足!?
書き逃げます(笑)。
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