明日
(24)




 キミと一緒に、心の中に未来への地図を描いて。
 歩いて行きたいって・・・思う。



 ようやく手に入れた『自由』の世界は、想像以上に輝いていた。
 今までの生活からは考えられないほどに、穏やかに過ぎていく時間。
 仲間達の、心からの笑顔。
 そして隣には・・・ハインリヒがいる。

 訓練、実験・・・。
 そんな言葉に脅かされる生活は、幕を閉じたのだ。

 『自由』
 その言葉の上で広がっていく明日という世界への道は、限りなく眩しい。
 その道の先に、描く世界。
 オレがいて、キミがいて・・・。
 仲間が、笑っている。
 そんな明日が、ずっとずっと続いていく事を、心から願う。



「ハインリヒ」
 穏やかな表情で、ハインリヒが本を読んでいる。
 本が好きなキミ。
 活字を追う喜びを、しみじみと感じているのだろうか。
 幸せそうに本を読んでいるキミの姿を見るのが、オレは好き。
 背後に迫り、ぎゅーと抱きしめた。
「好きだ」
 ページを捲ろうと動いた指先が、止まった。
 振り向いたキミの瞳は優しくて、オレはどうしようもなく嬉しくなる。
 細い左の指がオレに伸びて、くしゃりと頭に触れた。
「・・・何を今更・・・」
「何度だって言いたい。好きだ」
 ふわりと柔らかく、キミが笑う。
 キミの笑顔に、吸い込まれそう。
 そのまま頭を引き寄せられ、チュ、と頬にキスをされた。
「ハインリヒ・・・?」
 頬に笑みを刷いたまま、キミは再度、本に目を落とした。
 キミの向かいに腰掛けて、本を読むキミを、ただ・・・眺める。

 それだけで、なんて幸せな時間。
 目の前に広がる世界は、ホラ。
 やっぱりキラキラと輝いている。



 だから。
 キミと一緒に、心の中に未来への地図を描いて。
 歩いて行きたいって思うよ。
 二人で描いた、明日への地図。
 ホラ、希望という想いで、キレイに輝いている。
 一緒に・・・歩いて行きたいって・・・思う。

「起きろよ、ハインリヒ!今日もいい天気だぜ」

 そして何度も・・・キミと明日を迎えよう。



  〜 END 〜




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短めの話でスミマセン。
しかも、スウィートハニー色(ベタ甘ラブイチャ)が
思いっきり出た作品になってしまいました。
「『明日』を24で」とリクを下さったのは、Nさまでした。
ありがとうございましたv





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