好きよ。
 あなたが、大好き。
 だから、あなたの側にいて、ずっと笑っていたいと思うの。
 私、あなたを・・・愛してる?



「クラヴィス!」
 名前を呼ぶと、あなたはゆっくりと私を振り向いた。
「一緒にお散歩しましょうv」
「陛下・・・」
 呆れたような声が頭上から降ってくる。
「あら、いいでしょ。私にだって、たまには息抜きが必要です!」
 そう言って、手を差し出すと。
 躊躇いがちに、あなたが私の手を取った。
 繋ぎあった手と手の温かさが嬉しい。
 あなたが好き。
 そう思うと、胸に優しさが溢れてくる。
 私ははしゃぎながら、あなたを聖殿の外へと連れ出した。



 空の色は、キレイな蒼。
 太陽の光を受けて、あなたの菫色の瞳がきらめく。
 私たちは、お互いに黙って。
 並んで歩いた。
 女王に恋は禁忌なんて、そんなのは嘘。
 あなたと一緒にいられたら、私は幸せ。
 とても、優しい気持ちになれる。
 その優しさで、私は世界を包むのよ。
 二人きりで歩く、この大切な一時。
 あなたが私を好きかなんて、どうでもいいの。
 私があなたを好きだという事。
 それが、今の私にとって全て。
 そんなコトを考えながら、あなたを見上げると。
 視線と視線がぶつかって。
 私は、笑った。
 あなたの側では、いつでも笑っていられる気がする。
 自分の、一番いい表情で。

 あなたの唇が薄く開いて。
「アンジェリーク・・・」
 手を握った時と同じように躊躇いがちに、あなたが私の名を呼ぶ。
 私の本当の名前を呼んでくれる、懐かしいその声音。
 今、私がどれだけ嬉しいか、あなたに分かりますか?
「アンジェリーク」
 もっともっと、名前を呼んで欲しい。
 昔みたいに。



「クラヴィス・・・」
 何か言いたくて、でも名前しか呼べなかった。
 あなたは微かに笑って。
 私の手を握っているあなたの手の平に、キュッと力が入る。
 それだけで、どうしてこんなに幸せなんだろう?
 私のこの気持ちを風に乗せて、世界中に贈りたい。
 みんなが、幸せになれますように。



 私、あなたを愛してる。
 あなたを想うだけで、私は誰よりも優しくなれる。
 その優しさで、私は世界を包み込む。
 あなたが好き。
 あなたの側で笑う、私が好き。
 ずっと側にいたいと思う。
 だから、あなたも・・・。
 ずっとずっと、私の側にいてね。




〜 END 〜



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2004年にフリーにしていたバレンタイン創作です。

アンジェは管理人の本命CPのクラリモで。
バレンタインの話にはなりませんでしたが、甘さは十分!?
女王と守護聖という立場の二人ですが、
互いの愛情は静かに、けれども熱く、
というイメージで書きました。
管理人が女王リモちゃんを書くのは珍しいのですが、
滅多にないシチュエーションを楽しんで頂けたら幸いですvvv





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