ティータイムを一緒に
(オスリモ)




「ただいま〜!!」
 玄関からアンジェリークの元気な声が聞こえてくる。
 フ・・・とオスカーの頬が緩み、その口元には穏やかな笑みが浮かんだ。
「オスカー様〜?今帰りましたよ〜??」
 パタパタと軽やかに駆けて来る足音が、オスカーのいる部屋に近付いてきた。
 部屋のドアが開き、頬を紅潮させたアンジェリークがニコリとオスカーに笑いかける。
「ただいま、オスカー様。お土産に、ケーキを買ってきましたよ〜」
 オスカーは苦笑し、アンジェリークを手招きした。
「おやおや。ケーキは君のため・・・なんじゃないか?それより、陛下と一緒で楽しかったか?」
「はい!とってもv」
 アンジェリークは今日、お忍びの女王と共に、主星でショッピングを楽しんできたはずだった。
 それにしては・・・。
「アンジェリーク、荷物はケーキの箱とバッグだけか?」
 そう問うと、苦笑で返事が戻ってきた。
「ロザ・・・じゃなくて、陛下がすごくお買い物をされたので、荷物は全部、こちらに送ってるんです」
「呆れたな。そんなに買い物をしたのか?」
「だって!」
 アンジェリークはプウと頬を膨らませた。
「お買い物は、女の楽しみですもの!!そんなコトを言うオスカー様なんか、嫌いです!」
 アンジェリークにそっぽを向かれ、オスカーはいささか慌てた。
「おいおい、アンジェリーク。拗ねないでくれよ・・・」
「拗ねてなんかいませんも〜ん!」
 そのままオスカーに背を向けようとするアンジェリークの腕を掴む。
「からかうつもりじゃなかったんだ。本当だ。機嫌を直してくれ・・・」
 哀願しながらも、オスカーはハッと思い出した。
 愛する妻のために、お茶の準備をしていたことを。
 アンジェリークは・・・紅茶に目がなかった。
「アンジェリーク」
「何です?」
「外出で疲れたろう?君に夏摘みのダージリンを飲ませてやろうと思って、準備をしていたんだ。茶葉は君の気に入りのメーカーから取り寄せたから、安心してくれ」
 言いながら、オスカーは紅茶の缶を開けた。
 仄かに甘い香りが、室内に漂う。
 アンジェリークの瞳が、キラキラと輝いた。
「オスカー様が淹れてくださるんですか??」
「もちろん。愛する君に、最高のお茶を飲ませるぜ?」
「わあ、嬉しい!」
 どうやら、ご機嫌が直ったようだ。
 ホッと息を吐きながら、オスカーはお茶の準備を開始した。
 お茶好きなアンジェリークを喜ばせようと、ここしばらく、一人でお茶淹れの練習をしていたのだ。
 ポットとカップを温めて。
 茶葉をポットに入れて、湯を注ぎいれた。
 アンジェリークはちょこんと椅子に座り、テーブルに頬杖をついている。
「ん〜、いい香りv夏摘みのダージリンって、香りが甘めですよね〜vvv」
 若草色の瞳が、嬉しそうに細められた。
 かなり真剣に浸出時間を計る。
 オスカーが薄く白いカップにコポコポと茶を注ぐと、アンジェリークは歓声を上げた。
「オスカー様、お上手〜vすごく美味しそうです〜vvv」
 白いカップを白い手元に差し出す。
「どうぞ、レディ?」
「ありがとうございます」
 クスクスと笑いながら、アンジェリークはカップの取っ手を持ち上げた。
「本当に、いい香り・・・。色も綺麗に出てますね」
 カップを口元に寄せ、アンジェリークが一口、茶を飲んだ。
「・・・・・・・・・」
「アンジェリーク?」
 恐る恐る、名前を呼ぶと。
「はぁぁぁぁ〜。幸せ〜vvvとっても美味しいです〜vvv」
 語尾にハートマークを飛ばしながら、アンジェリークは心から幸せそうな顔をした。
 その表情に、オスカーもほわわんと幸せな気持ちになる。
「あ、そうだ!お土産のケーキを出しましょう。オスカー様の美味しいお紅茶と一緒に、味わいたいものvvv」
 イソイソとアンジェリークがケーキの箱を開け、皿に移した。
 薫り高い紅茶と、美味しいケーキ。
 幸せな気分で、二人の時間を過ごす。
「はい、オスカー様。あーんしてください」
 フォークに乗ったケーキが、オスカーの口元に差し出される。
 口をあけ、オスカーはパクリとそのケーキを食べた。
「お茶もケーキも最高v私、とっても幸せです〜」
「君が喜んでいる姿を見ていると、俺も幸せだな・・・」
 そう言って、ポンポンと柔らかな禁の髪を撫でると。
 アンジェリークは紅茶のカップを口元に運び、その頬に満面の笑みを浮かべた。
 カップから立ち昇った湯気が、フワリと周りの空気に溶けて消えた。


  〜 END 〜


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リモちゃんの機嫌をとりつつ、
お茶を淹れるオスカー様が書きたかった・・・!
というのがバレバレでスミマセン(汗)。
ちょっと軽いタッチのお話になりましたが、如何でしたか?
やっぱりお紅茶ネタは、最高に燃えます!!




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