7 愛しい君が生まれた日
(24)




 いつもより早い時間帯で目が覚めた。
 朝の光を遮っているカーテンをサッと開いて。
 窓の外は、キラキラと明るく輝いている。
「ん、今日も、イイ天気だ」
 一人満足気に呟いて、ジェットはまるで踊るような足取りで自室を出た。

 向かう先は、ハインリヒの部屋。
 そーっと、ドアを開けると。
 静かな寝息が聞こえてきた。
「今日はオレの方が早いな・・・」
 足音を忍ばせて、ベッドサイドに佇む。
「ハインリヒ〜?」
 白い頬をスルリと撫でると、うっすらと瞳が開いた。
「おはよう」
 薄い唇に、チュ、と可愛らしくおはようのキス。
「な、なななななっ!!」
 ガバッと飛び起きたハインリヒに、ニッコリと微笑みかけた。
「ハッピーバースデイ」
 その人の髪をサラリと撫でながら。
「当然、オレが一番最初だよな?」
 尋ねると、
「まあ・・・そういうことになるな・・・」
 瞳には、微かに困惑の色。
 あまり、誕生日とか大袈裟に祝われるのが好きでないと分かっているけれど。
 でもどうか、嫌だとかそんなコトは思わないで。
 思いっきり、祝わせて欲しい。

 今日は・・・キミがこの世に生を受けた日。

「オレは、今日という日を神に感謝するよ」
 唐突に言うと、ハインリヒの瞳がジェットを見上げた。
「キミが、オレに会う為に生まれてきてくれた日だ。オレにとって、すごく特別な日だよ」
 言いながら笑いかけると、ハインリヒは居心地悪そうに視線を逸らした。
「感謝は、キミにもかな?」
 鋼鉄の右手を、己の手の平で捧げ持って。
「キミが生きていてくれること、オレを愛してくれていること・・・ありがとう」
 冷たいけれど温かい手の平に、恭しく口付けを。
「・・・ダンケシェーン」
 小さく呟きのような声が、ハインリヒの口唇から零れ落ちて。
「どういたしまして」
 笑いながら、ジェットはハインリヒの腕を掴み、起き上がらせた。
「覚悟しろよ?今日はキミを、嫌って程、笑わせてやるから」

 自分が周りからどれだけ愛されているかを、今日という日ぐらいは見つめ直して。
 一日、幸せに笑って欲しい。

 みんなみんな、キミを愛してる。
 愛しいキミが生まれた日に・・・心からの祝福を。



  〜 END 〜




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

短いですが、ハインさん、お誕生日おめでとうございますvvv
の気持ちをたっぷりと込めて。




ブラウザを閉じてお戻りください。