winter song
賑やかな街の中を、歌が・・・。
最近、何処に行っても必ず耳に入ってくる歌がある。
透明な感じのする女性の声。
何度も何度も耳にするので、そのフレーズを思わず覚えてしまったぐらいだ。
流行りなのだろうか??
そう思って、グンマは軽く首を傾げた。
グンマは、人を待っている。
金の髪に藍い瞳の、とてもとても優しい従兄弟。
久し振りに休みが合って、久し振りのデート。
待ち合わせをしようと言い出したのは、グンマだった。
好きな人を待つ、という嬉しい時間を味わいたかったから。
グンマは瞳を細め、目の前の風景に視線を向けた。
クリスマスの近い冬の街は、幸せそうな恋人達で溢れていて。
早く来ないかな・・・。
几帳面な彼にしては珍しく、約束の時刻は、既に過ぎている。
ほんの少しだけではあるが・・・。
手袋の上からフウと指先に吹きかけた息が、白く凍った。
歌の中の女の人も、恋人を待っている。
自分と、同じように。
グンマの白い頬に、ふと、笑みが浮かんだ。
頬に笑みを浮かべたまま、何となく俯いて。
グンマは、その人を待った。
「グンマ・・・!」
あまり大きくはない、けれどもよく通る低い声で名前を呼ばれた。
顔を上げると、大慌てで走ってくる彼の姿。
「・・・済まない・・・待たせた・・・!!」
「はい、遅刻です」
ワザと冷ややかにそう告げると、キンタローは可哀想なぐらい情けない表情になった。
「本当に悪かった。許してくれ・・・」
「反省してる??」
怒ってなんかいないけれど、怒ったふり。
「スマン・・・!!」
飼い主に怒られた子犬のようにしょげているその姿が、やっぱり気の毒で。
クスクスと思わず笑いを漏らしてしまうグンマに、キンタローは不安げな視線を投げかけた。
「グンマ・・・?」
「ウソウソ。怒ってなんかいないよ。でもキンちゃんが悪いって思ってくれてるなら・・・今日は豪華ディナーに連れて行ってv」
ホッとしたような表情を見せてから、キンタローは重々しく頷いた。
「ああ、連れて行こう。もとよりそのつもりだったしな」
「デザートが美味しいお店がイイなv」
「この俺に任せておけ。いいか、この俺がお前に相応しい店に連れて行ってやるぞ」
「うん。楽しみにしてるvvv」
歌の中の女性も、彼と合うことが出来て。
クライマックスで二人、熱いキスを交わす。
「キ〜ンちゃんv」
「・・・なんだ・・・??」
軽く背伸びをして、薄い口唇に、触れるだけのキス。
「・・・!?」
「えへへ〜。大好きだよv」
笑いながらそう告げると、キンタローは少し照れたような顔で答えを返した。
「・・・そうだな。俺も好きだぞ・・・」
キンタローの腕を取り、グンマは歩き出す。
「まずはお買い物に付き合って。ね?」
「お前の良いように・・・」
賑やかな街の中を、歌が流れる。
歌の中の恋人たちのように。
世界中の恋人達が、幸せでありますように。
「僕、とっても幸せだよv」
笑うグンマを、藍い瞳が優しく見つめてくれた。
〜 END 〜
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1題目は、キングンでした〜。
キングンは砂糖のように甘い話が好きですvvv
もうベッタベタでラブラブでいて欲しい。
キンちゃんはグンマ様に振り回されながらも落ち着いた雰囲気で・・・!!
というイメージで書きました(笑)。
(あんまり落ち着いてないよ、キンちゃん・・・)
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