white lovers




 青い瞳の女王は、聖地に四季をもたらした。
 そして。
 冷たい、冬の季節がやってくる。



 一日の執務を終えたオスカーが、聖殿から出ようとすると。
「雪か・・・」
 空からヒラヒラと。
 まるで白い花びらのように舞い落ちてくる雪が、目に映った。
 ふわふわと優しく宙を漂うその様に、ある女性の姿が重なる。
 手の平を空に差し出し、雪をひとかけら、受け止めた。
 オスカーの手の上で、白い雪はそっと溶けていく。
「美しく優しいが、どこか儚い・・・」
 そんな言葉を口唇から零し。
 オスカーはそのまま、傘も差さずに歩き出した。
 真紅の髪に、白い雪がひとかけら、ふたかけら・・・。


「オスカー様〜!!」
 名前を呼ばれ、振り返る。
 パタパタと、慌てたような様子で。
 女王補佐官が駆けてくる。
 ピンクの傘をその手に持って。
「傘もささずにお帰りになると、お風邪をひきます・・・!」
 オスカーの頭の上に、差し出された傘。
 優しい指先が、オスカーの髪に触れ、
「髪の毛に、こんなに雪が・・・」
 雪のかけらをそっと払った。


 今、聖地は冷たい冬の季節。
 けれども・・・。
「君の手は、温かいな・・・」
 髪に触れていたアンジェリークの手を取り、その甲に口付ける。
「オスカー様?」
 不思議そうに見上げてくる若草色の瞳を覗き込むようにして。
「今日の執務は終わりか?」
 尋ねると、彼女は小さく頷いた。
「はい・・・」
「では、君の私邸まで送っていこう。まさか、嫌とは言わないよな、レディ?」
 アンジェリークの手から傘を奪い取り、空いた手で華奢な肩を抱き寄せながら、オスカーは再び、歩き出した。


 ヒラヒラと舞い落ちる雪が。
 ピンクの傘を次第に白く染めていく。

「アンジェリーク。クリスマスの予定は?もちろん、この俺のために空けておいてくれているんだろうな?」
「オスカー様こそ。ちゃーんと、私のためにご予定を空けておいてくださいね・・・!」

 並んで歩く二人の姿が。
 雪の中、白く、霞んだ。




 〜 END 〜




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雪のお話が2話続きましたが、こちらはオスリモ。
短めのお話でスミマセン。
ロマンティックオスリモを目指しました・・・!!
でもあまり、クリスマスらしくはありませんね(汗)。





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