holy night
白く降り積もった雪が溶ける間もなく、また新たな雪が積もり始める。
それは、クリスマスの夜。
偶然にもその日は土の曜日だったため、二人は一日、一緒にのんびりと過ごしていた。
イベントが大好きなアンジェリークの私邸の中は、クリスマスの色で溢れている。
庭先には、大きなツリー。
枝に絡めた電球が、チカチカと暗闇の中で瞬いている。
室内にもサンタや天使のオブジェが溢れていて。
(アンジェリークらしいな・・・)
そう思い、オスカーはクスリと小さく笑いを漏らした。
「今夜は腕によりをかけて、お料理しますから!」
そのアンジェリークの言葉に嘘偽りはなく。
目の前に並ぶ料理の山に、オスカーは目を細めた。
こんがりと色よく焼けたチキン、イエローのポタージュに、彩り鮮やかなグリーンサラダ。
そして。
真っ赤なイチゴが乗った、白いケーキ。
「これは全て君が?美味そうだな」
オスカーが賞賛すると、アンジェリークの表情が綻んだ。
「オスカー様のために、一生懸命作ったんですよ。たくさん召し上がれv」
ワインはオスカーが用意した。
酒に弱いアンジェリークでも飲めるような、甘いワインを選んで。
グラスに注ぎ込むと、淡い琥珀色の液体がゆらりと揺れた。
ほっそりとした指がグラスを手に取る。
鼻の先にグラスを近づけ、
「とってもいい香り」
微笑むアンジェリークに向かって、オスカーはグラスを差し出した。
頬に笑みを絶やさぬまま、アンジェリークも軽く、オスカーに向かってグラスを差し出す。
「君の瞳に・・・乾杯」
なんて気障な台詞を口にすると、アンジェリークの笑顔が、クスクス笑いに変化する。
「乾杯〜v」
薄いグラスとグラスが触れ合いカチンといい音を立てた。
ワイングラスを口元に運んだ後、二人で顔を見合わせて笑った。
窓の外では、雪が降っている。
サラサラと降り積もる音が、微かに、耳に届く。
「アンジェリーク」
「はい?」
「愛してる」
まるでケーキの上に乗っているイチゴのように、アンジェリークの頬が朱を刷いた。
「・・・愛してる・・・」
一字一字を噛み締めるようにして、もう一度告げた。
「私も好きですよ・・・」
アンジェリークの小さな呟きは、燭台の光に優しく溶け込んでいく。
自分の笑顔が彼女にとって魅力的であるようにと願いながら、オスカーは笑った。
「この聖なる夜を、君と一緒に過ごせて嬉しい」
アンジェリークは俯いて。
白い指が、膝の上のナフキンを所在なさげに弄った。
「ねえ、オスカー様」
小さな、小さな声。
それからアンジェリークは顔を上げ、オスカーに対して真っ直ぐに視線を当てた。
「私のこと、本当に好きですか?」
「好きだ。愛してる」
「これから先もずっと、一緒にいてくださいますか?」
「そんな事は当然だろう。今更どうして?」
「だってオスカー様は、女性はよりどりみどりでしょう?」
「例えそうだとしても、俺が腕の中に抱きしめたい女性は、君だけだ」
この冬の最中に。
オスカーは、春の日差しを見たような気がした。
「ありがとうございます、オスカー様」
穏やかで明るいアンジェリークの笑顔に。
そして二人は、静かに食事を続けた。
お互いにとても、幸せな気分で。
サラサラと雪の降る音が聞こえる。
明日は、アンジェリークと一緒に散歩に出掛けよう。
そう、オスカーは思った。
白い雪の上に足跡をつけてはしゃぐアンジェリークを抱きしめて、 彼女が嫌だというまで愛の言葉を囁こう。
窓の外では。
深々と。
雪が降り続いて・・・。
〜 END 〜
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
こちらはオスリモで。
またもやロマンティックモードを目指したのですが、
またもや玉砕の感が・・・(涙)。
けれども、私なりに頑張って書きました。
甘すぎちゃってスミマセン〜(汗)。
ブラウザを閉じてお戻りください。