Present fou you ..
外の明るい気配に、ハインリヒはふと目を開いた。
隣にはジェット。
スースーと幸せそうに眠っている。
ベッドの周りには、脱ぎ散らかした服。
もぞもぞと、ハインリヒはベッドの上で身体を起こした。
ジェットを起こさないように気を付けながら。
昨夜は結局。
フラリと足を踏み入れた、落ち着いた雰囲気の店で食事をして。
二人でワインのボトルを空けて、何だかとてもいい気持ちで、ギルモア邸に戻ってきた。
熱いシャワーを浴びて自室に戻ってきたら、ベッドに座ってジェットが微笑んでいた。
腕を引かれて、ジェットの腕の中に抱かれて、それから・・・。
ハインリヒの頬が、仄かに赤くなった。
そして。
突如として腰に絡み付いてきた腕に、ハインリヒはますます赤くなる。
「ハインリヒ。一人で赤くなっちゃって・・・どうかした?」
笑いを含んだ声で。
ジェットが見上げてくる。
その瞳も、笑いで溢れていた。
「別に・・・っ!!」
慌てて答えると。
「昨日のコト、思い出してた・・・?」
なんて、悪戯っぽく聞かれて困ってしまった。
「お前、いつから起きてたんだ?」
話を逸らそうと、別の質問を投げかけると。
「キミが、モゾモゾと起き上がった時から」
澄ました答えが返ってきた。
そのままジェットは、気持ち良さそうにハインリヒのウエストに顔を摺り寄せた。
「キミがこうして隣にいてくれて、オレ、本当に幸せ」
「頼むからやめてくれ。気持ち悪い・・・」
「何だか酷い言い草だな・・・」
言いながらジェットも上体を起こし、視線をハインリヒに合わせた。
瞳の中に、優しい笑みを浮かべながら。
「メリークリスマス、ハインリヒ」
「・・・メリークリスマス・・・」
「今年もこうして、一緒にクリスマスの朝を迎えられて嬉しいよ」
二人、顔を見合わせて、笑う。
「プレゼントは用意してないぞ」
そう言ったら。
「オレへのプレゼントはキミ。キミへのプレゼントは・・・」
チュ。
髪に、額に、頬に、首筋に。
キスの、嵐。
「くすぐったいだろうが・・・」
言葉だけは迷惑そうに。
けれどもクスクスとハインリヒは笑った。
ジェットも一緒に、クスクスと笑って。
今日も、なんて幸せな朝。
「ホラ、ハインリヒ!外見てみろよ・・・!」
服を身に着けて、ジェットが部屋のカーテンを開いた。
パッと。
眩しい光が、部屋を明るく照らす。
「ホワイトクリスマスだな。フランが喜ぶんじゃねえ?」
明るい太陽の光を浴びて、白く積もった雪が、キラキラと・・・。
「後で、散歩に行こう。な?」
少し赤みがかったジェットの茶色の髪も明るく輝いた。
「そうだな・・・」
頷きながらハインリヒも窓際に歩を進め、外の景色を眺めた。
ジェットが瞳を細め、じっと、ハインリヒを見つめる。
少し、照れくさくて。
視線に気付かない振りをする。
そして、目の前に広がる白い世界に向かって、小さく、囁きかけた。
「メリークリスマス」
それはとても幸せな・・・。
二人の、クリスマスの朝。
〜 END 〜
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