天邪鬼




「キミが・・・好きだよ」
 そう言えば、フイとそっぽを向いて。
 薄い口唇から零れる、無情な言葉。
「オレは違うぞ?」
 けれども、頬を微かに紅く染めている。

「オレのコト、嫌いなんだ?別にそれでもイイけど」
 そう言えば、不機嫌そうな表情で。
「誰がそんなコトを言った?」
 瞳が、不安そうに揺れている。

 ・・・そんなキミを、放っておけない・・・。



 少し言い訳させてもらうと。
 『別にイイ』っていうのは、『キミがオレを嫌いでも、オレはキミを好きだからそれだけでいい』っていう意味で。
 でもそれを言うと、またキミは面白くもなさそうな顔をして、鼻先で笑うだろう?
 だから、言わない。



 オレが押すと、キミは引いて。
 オレが引くと・・・キミは、どこか不安そうな顔。

 もうダメ、放っておけない。



 ギューっと抱きしめると、腕の中でジタバタと暴れる。
「ジェット・・・!」
「ダメ。・・・離さない・・・」
 オレがアクションを起こさないと、どうしようもない。
 キミからの抱擁なんて、ほとんど期待してないし。
 だから、オレがキミを抱きしめよう。
「やめろっつてんだろうが!!」

 イヤだとキミが言っても、オレは信じないよ。

 天邪鬼なキミ。
 でも、瞳は正直。
 言葉とは裏腹に、キミの瞳は語ってるぜ?

 オレが、好きだって・・・。

 イヤよイヤよも好きのうち。
 って言葉を作り出した先人は、偉大だ。



「ハインリヒ〜v」
「お前は・・・!人の言う事を聞きやがれ、馬鹿野郎!!」
「よーく聞いてるさ」
「だったら離せっ!!」
「ダメだって。だってキミ、離せって言ってないだろ?」

 それどころか・・・。

「〜〜〜〜っ!!!」
 口唇に口唇を重ねると、腕の中の身体が、微かに震えた。
 解放してやると、口元を押さえて、抗議の眼差しで見上げてくるけれど。
 瞳は本気で怒ってないから。

 だからただ、可愛いだけだったりして。
 そして、オレは何だか、とても幸せvvv

「気持ちよかったろ?」
「誰がっ!!」

 ハイハイ、そーゆーコトにしておいてあげるから。

 クスリとオレは笑って。
 もう一度。
 うちゅーvと、その口唇を奪った。



 〜 END 〜




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素直じゃないハインさん・・・って難しい・・・?
結局、ジェットに良い様にあしらわれております(笑)。
イイんです、それでお互い幸せなのだから!!
書いてる生物も幸せなのだから(笑)!




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