24時間いつでもおいで
(一歩:板木)




「はあぁぁぁ〜」
 ため息が一つ。
「はあ」
 また一つ。
「はあぁぁ」
 またまた一つ。

 ・・・プチン!!

「何なんですか、あなたは一体!?さっきから、ため息ばかりで、気になるじゃないですか!」
「あ〜ん?仕方ないだろが?」
 思いっきりヤル気のない声で返されて、板垣は脱力した。
 一つの空間に二人きり。
 それなのに、ため息の連発とは、いかなる事か・・・!?
「木村さん、僕に何かご不満でも?」
 些か嫌味を込めて訊ねると、
「お前に不満は・・・死ぬほどある!」
 にべもない返事が戻ってきて、更にガックリする。
「でも、憂鬱なのはその所為じゃない」
 あまりフォローになっていないような気がしたが、板垣は気を取り直して聞き返した。
「じゃあ、どうしてなんですか?」
 木村の指が、ツイ、と窓の外を差した。
 窓の外、上空には雲が重く垂れ込めている。
 そして、もう何日か降り続いている雨。
「俺さぁ、雨が嫌いなの。ジメジメしてて、すっげー憂鬱になる」
 薄い唇からまた一つ、ため息が零れた。
「それがもう、何日も続いてるんだぞ!?俺じゃなくても憂鬱になるってもんだろ、なあ!?」
 僕は別に平気なんですが・・・。
 などと答えようものなら、パンチを喰らいそうな勢いである。
「そ、そうです・・・ね・・・?」
 一応、賛同の意を伝えたが、木村は面白くも無さそうに、ゴロンとベッドの上に転がった。
「あー、イヤだ、イヤだ。早く、止まねえかなぁ・・・」
 唇を尖らせながら、ボヤく仕草が可愛くて、
「そうですね、早く止むといいですね〜」
 言いながら頭をぽふぽふと撫でると、スッと目を閉じた。
「お前に話したら、ちょっと憂鬱じゃなくなったかも」
「そうですか?」
「うん、そう。笑わないで聞いてくれて、サンキューな」
「木村さんの事なら、いつだって聞いてあげますよ」
 艶やかな黒髪をクシャリとかき混ぜながら、
「だから絶対、相談事は僕にしてくださいね?しつこいようですが、あなたの為なら、いつでもこの身体を空けておきますから!!」
 そう宣言すると、薄く瞳を開けて笑った。
「はいはい、そうさせてもらいます」
 しとしと、しとしと、窓の外は雨。
「晴れたら、一緒にロード行こうな」
「うわっ!これはまた、色気のないお誘いですね・・・?」
「イヤなら、宮田をさそ・・・」
「いつでもOKです!!僕がお供します!」

 あなたはいつだって、指先一つで僕を動かす事ができるんですよ。
 ポーズを取ってブツブツ文句を言うかもしれませんが、僕は、あなたの望みは何だって、叶えてあげます。
 だから、いつでもずっと、僕を頼りにして良いんですよ。
 というか、僕しか頼りにしなくてイイですからね!

 窓の外は、雨。
 木村の頭をポンポンと撫でながら、板垣は呟いた。
「僕が天気を司る神なら、あなたのために、今すぐ空を蒼くして見せるのになぁ」
 クスリと、木村が笑った。
「もうすぐ止むんじゃねえの?お前が、そんな風に思ってくれるんならさ」
 板垣は窓の外に視線を向けた。
 少し、雨が弱くなったような気がして。
「そうですかね?」
 言いながら、板垣もクスクスと笑った。



  〜 END 〜




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

天気の悪い日が続いてちょっと憂鬱になったので、
木村さんにも憂鬱になってもらったという、
安直(しかも取り留めのない)な話でスミマセン。
しかも、あまりお題合っていない気がしないでもありません。
おおふりも雨ネタだったんですが、話は大分違うので(?)、
両方お読みになられた方、どうぞお許しくださいませね。
板木は可愛いな〜v
好きなんだけれど、ネタがなかなか浮かびません(笑)。






ブラウザを閉じてお戻りください。