<HAPPY!?24デー>
24デーその1:目覚めの朝
ふと、目が覚めた。
ハインリヒを抱きかかえるようにして、隣で眠っているのは、ジェットだ。
いつも大人びた雰囲気の彼なのに。
瞳を閉じていると、可愛らしく見えたりする(本人に向かって言えば、ムキになって反論するだろうが)。
クスリ、とハインリヒは笑い、ジェットの明るい茶色の髪をそっと撫でた。
ジェットの広い胸に、そっと頬を寄せてみると。
トクン、トクンと、規則正しい鼓動が聞こえてくる。
・・・ひどく、気持ちが落ち着く音だ。
しばらくそうしてジェットの鼓動を聞いていたが、眠ることが出来ない。
すっかり目が覚めてしまった気がして、ハインリヒはジェットを起こさないように気をつけながら、その腕の中からスルリと抜け出した。
窓の側に歩み寄り、薄手のカーテンを開いて外を眺める。
夜と朝とがせめぎあっている空の色は。
薄い紫だ。
星が瞬いているのが、微かに見て取れる。
姿を消しかけている星々の中の一つが、刻々と明るさを増していく空に弧を描きながら、流れていった。
星が流れる姿をボーっと見送った後。
ハインリヒは、苦笑した。
願い事をするのを、すっかり忘れていたからだ。
「・・・何か、願い事をすれば良かったな・・・」
独り言のように呟くと、
「ハインリヒ」
耳元で、名前を呼ばれた。
「うわっ!?」
突然名前を囁かれ、驚くハインリヒを、ジェットが背後からフワリと抱きしめる。
「冷たいなぁ、そんなに驚くコトないだろ?」
ハインリヒの肩口に顔を埋めながら、ジェットは拗ねたような口調で言った。
けれども、その後に続いた声は真剣で。
「キミは今、何を願おうとしていた・・・?」
そう問いかけられ、ハインリヒは言葉に詰まる。
「キミが望むことの全てを、このオレが叶えてあげたい。だからキミは、星なんかじゃなくて、オレに言ってくれればいいんだ。キミの、願いを」
願いは、たった一つだけだ。
そしてその願いは、もう、叶えられている。
ハインリヒは、ジェットを振り向く。
「オレの願いは、もう叶えられてしまった」
答えると、ジェットは顔を上げ、ハインリヒをじっと見つめた。
琥珀色の瞳が、不機嫌そうに揺れた。
「だって、願い事をすればよかった、って言ったろ?そう言うってコトは、何か願いがあるからだろ??どうして、オレに言えないんだ?オレじゃ、キミの力になれないか?」
ジェットの気持ちが嬉しい。
自分には、もったいないぐらいだと思う。
ハインリヒは手を伸ばし、ジェットの頬に手を触れた。
「違う・・・そうじゃない」
「じゃあ、何なんだよ?」
「こうしてお前と一緒にいること。それが、オレの望みだ。もう、叶えられているだろう?お前が、叶えてくれた」
瞳から不機嫌の色は拭い去られたが.
ジェットは納得がいかないといった様子で、更にハインリヒに問うた。
「それじゃ、キミは何を願おうとしていたんだ?」
ハインリヒは、視線を伏せる。
銀の睫毛が小さく揺れた。
「願わくば・・・この時が、永遠に続くように・・・」
形のいい唇から漏れたその言葉に。
「ハインリヒ・・・!」
ジェットはギュッと、愛しい人の身体を抱きしめた。
「そんなコト、星に願わなくてもいい。オレはずっと、側にいるから。キミが、嫌だと言っても」
「・・・ああ、そうだな・・・」
とても、気持ちのいい時間。
ただ、ジェットに抱きしめられているだけで・・・。
ジェットの腕の中で、ハインリヒは瞳を閉じる。
窓から差し込む朝日が、二人を柔らかく照らした。
〜 続く 〜
というワケで、まずは24の目覚めを書いてみました。
朝からベタいちゃな二人でスミマセン(滝汗)。
テーマが「ラブイチャな24の一日」なので、その点は守れたはずですっ(?)!!
そして、ねこ太様にバトンタッチですvvv
二人はこれからどうするのでしょう??
よろしくお願いします〜vvv
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