<HAPPY!?24デー>

24デーその7:ハインリヒの甘い苦悩




「待て〜っ!待て待て待て、ジェット!!」
 ハインリヒは叫んだ。
 ジェットは一体、何を言っているのだ?
 この鎖骨が出てしまうほどに胸元が開いた、しかも、着丈が短い上着!
 そして!!
 そして、へそや腰のラインがハッキリと見えてしまうような、股上の浅いズボン!!!
 こんな恥ずかしい格好をして、オレに街を歩けというのか!?
 ある意味、羞恥プレイだぞ、これはっ!
「オレの服を返せ〜っ!!!!!」
 それは、ハインリヒの心の底からの叫びだった。
 しかし。
 ジェットはニヤニヤと笑いながら、ハインリヒが元着ていた服を隠してしまった。
「ダメ、返さない」
「ジェット〜」
 思わず涙目になるハインリヒに向かって、ジェットは憎らしいほどにサワヤカに言ってのけた。
「キレイな恋人をみんなに見せびらかしたい、って、オトコの願望だと思わない?」
「思うか〜っ!つか、誰がお前の恋人だ、誰が!?」
「え?ハインリヒに決まってるじゃん。照れちゃってさぁ、可愛いな♪」
 服を返してくれる気が、ジェットには全くなさそうだった。
 悟りの境地を開き、ハインリヒは、恐る恐る試着室から出た。
 なんだか、ひどく落ち着かない。
 ズボンはしっかりとウエストまで!
 できるだけ、胸元が開かないタイプのシャツ!
 シャツの着丈は長い方がよろしい!
 という自分のポリシーが・・・、ポリシーが・・・。
 涙目のままのハインリヒの腕を、ジェットがウキウキと引っ張った。
「それじゃ、コーヒー豆のついでに、茶を飲みに行こうぜ〜♪」
 そしてハインリヒは、自身にとって耐え難い格好で、街の中に連れ出された。



 ハインリヒに、いつもと違う格好をさせてみた。
 瞳の色と同じシャツ。
 キレイな鎖骨が見えて、ひどくセクシーvvv
 そして、ローライズのズボン。
 細い腰のラインとキュートなおへそが見えて、グッドだ。
 ハインリヒは泣きそうな顔で嫌がったが、ジェットはその格好のまま、ハインリヒを街中に引っ張り出した。
 しかし・・・。
 服を購入した店を出てすぐさま、ジェットは後悔した。
 周りのハインリヒを見る視線が!!
 視線が、許せない・・・。
 行き交う人々が全て、ハインリヒを不埒な眼差しで見ているような気がする。
 ハインリヒの鎖骨や、腰のラインは、オレのものだ!
 おへそだって、オレのものだっ!!
 道行く奴等(老若男女共々)に、
『オラオラァ!手前等、人の恋人をやらしい目付きで見てんじゃねえよ!!』
 と言ってやりたいぐらいである。
 ガシッ。
 ジェットは隣を歩いているハインリヒの肩をつかんだ。
「ゴメン、ハインリヒ。オレが悪かったよ」
「は?何だイキナリ??」
「その服」
 そういうと、ハインリヒはひどく情けない表情で、自分の着ている服に視線を飛ばした。
 そんなハインリヒと同じぐらい情けない表情で。
「すっげー似合ってるけど、やっぱダメだ。人前でそんなカッコをさせたオレが悪かった!!」
 ジェットは、哀願した。
「今すぐ、元の服に着替えてくれ、頼む!!!」
 パッとハインリヒの表情が明るくなる。
「ジェット。本当か?本当に元の服に着替えていいのか??」
「本気も本気、大本気だ。速攻着替えてくれ、頼むから!」
 ハインリヒの腕を引っ張り、ジェットは服屋に戻る。
「お姉さん、更衣室、もう一回貸してくれるかな?」
「どうかされました?」
「服は貰ってくけど、やっぱり元の服を着て帰るよ」
 そしてジェットは、服の試着をした時と同じように、ハインリヒを更衣室に閉じ込めた。

 数分後。
 更衣室から出てきたハインリヒの服装を見て、ジェットはホッとしたが。
 ハインリヒも同じぐらい、ホッとしていた。
(よかった・・・これでハインリヒを不埒な目で見られずに済むぞ!!)
(良かった・・・これで平常心を保って街を歩けるぞ・・・)

 あの素敵服は自分の前だけで着てもらおう。
 ジェットは固く、心に誓った。



 そして二人は、ようやく喫茶店へと足を踏み入れた。
 店の中に入ると、芳しいコーヒーの香りが鼻先をくすぐる。
「すっげーいい匂い。オレ、コーヒーの匂いって好きだな」
 ジェットの言葉を受けて、ハインリヒも満足気に笑った。
「ここのコーヒーは絶品だからな。香りも一流だ」
 ウェイターに案内された席に、二人は腰を落ち着けた。
「さて、どうする?」
 ジェットに促されて、ハインリヒはまず、デザートメニューに素早く目をやった。
 薫り高いコーヒーと共に味わう甘味は最高である、と、力強く思いつつ。
 そして、固まった。
(フローズンヨーグルトストロベリーパフェだと!?)
 この店はコーヒーだけでなく、甘味も美味で、ハインリヒはその中でも、レアチーズケーキがお気に入りだった。
 しかし。
 どうやら店の新作らしい、この素晴らしい名前のパフェに、ハインリヒはクラクラとよろめいた。
(オレの大好きな、フローズンヨーグルトで、イチゴで、パフェ!?なんて悩ましいんだ!)
 メニューに載っているパフェの写真は、甘くハインリヒを誘惑した。
(しかし、オレにはレアチーズケーキというモノがっ!!!)
 ハインリヒは思わず、頭を抱えた。
(オレは一体、どうすればいいんだ!?!?)
「あのー、ハインリヒさん??」
 ジェットがハインリヒに呼びかけたが、ハインリヒの耳に、その声は届かなかった。
(ダメだ、オレには選べないっ!!!)
 ジェットの姿などもはや眼中にもなく、ハインリヒは苦悩した。
 本人はひどく真面目に苦悩していたが、それは傍から見るとかなりお間抜けな苦悩だった・・・。




〜 続く 〜



まずはお礼を。
ハインリヒの服装アンケート、ご協力ありがとうございましたvvv
色々なご意見をいただいて悩んだ結果、結局元の服に戻してしまいました〜(汗)。
結構票が割れたりしたので、ふみふみの好みでスミマセン。
今回ちょっと、ふみふみには珍しく(?)ギャグモードに突入してみました。
たまにはいいかな、と思いまして(笑)。
ハインリヒが甘いもの大好き、という設定に勝手にしてしまい、ねこ太様には申し訳ございません。
続きをどうぞよろしくお願いいたします〜vvv
アホな中継点でスミマセン・・・(土下座)。




ブラウザを閉じてお戻りください