5 明けの明星
「やっと終わった〜!!」
嬉しそうに声をあげ、キンタローの隣で、グンマが大きく伸びをした。
机上に散乱した書類を集め、トントンとリズミカルに揃える。
「結局、徹夜しちゃったね・・・」
小さな口唇から、小さく吐息が漏れた。
「コーヒーでも淹れようか?インスタントだけどね」
ポットを手に取り、グンマはニコリと笑った。
「・・・そうだな・・・」
答えると、紙コップを手に取り、コーヒーを淹れ始める。
香ばしい香りが、フワリと辺りに漂った。
「はい、どうぞ!」
「ありがとう・・・」
そのまま二人で、黙ってコーヒーを啜った。
コーヒーを飲み終わると、グンマはおもむろに立ち上がり。
窓際に歩み寄った。
研究室の大きな窓を隠しているカーテンを、勢い良く開く。
「・・・!!」
「うわあ・・・!」
キンタローとグンマは、息を飲んだ。
窓の外に広がっているのは。
なんて、美しい朝焼け。
「研究を頑張った僕らへのご褒美だねv」
朗らかに、グンマが笑う。
朝の赤い太陽の光を受けて。
金の髪が柔らかなオレンジ色に染まった。
瞳を細め、キンタローはじっと、グンマを見つめた。
「どうしたの、キンちゃん?」
「いや・・・」
グンマが、あまりにも綺麗で。
けれども感嘆の言葉を、上手く口唇に載せることが出来ない。
だから。
髪を一房手に取り、そっと口付けた。
キンタローから目を逸らし、グンマの頬が微かに赤くなったように感じられたのは・・・。
朝焼けの所為だけではないと思う。
しばらく黙って、二人で朝焼けを見つめる一時。
二人の間に、穏やかな時間が流れた。
不意に、
「あ・・・」
グンマが声を上げた。
「どうした?」
「ホラ、見て。もう夜明けなのに、あんなに明るいお星様」
グンマの指の先で、キラキラと星が瞬いている。
「ああ・・・」
天文関係の本で、読んだことがあった。
「明けの明星だな」
夜明けの東南の空にひときわ明るく煌く金星を、『明けの明星』と呼ぶ。
美しく眩しいその輝きは・・・。
「お前のようだな・・・」
「え??」
金の髪を持つ一族の中でも、グンマの髪はひときわ輝きを放っていた。
少しくすんだような自分の髪の色とは違う、ハニーブロンド。
その金が、キンタローの目にどれだけ眩しく映ることか。
昔から・・・そして、今も。
これから先も、きっと、ずっと。
「お前は美しいと言ったんだ。あの星のように」
「何言ってるの!?バカっ!!!」
真っ赤になって、グンマはキンタローから顔を背けた。
「キンちゃんって、時々、平気で恥ずかしいことを言うんだから・・・」
「俺は真実を述べただけだが?」
「だからバカなのっ」
ぷくっとグンマは膨れ、キンタローはその様子に苦笑した。
「分かった、分かった。俺が悪かった・・・」
くしゃり。
髪を、撫でる。
機嫌を直したのか、くすぐったそうにグンマが笑った。
「キンちゃん」
「何だ?」
「ホントに綺麗な朝焼けだね。徹夜には参っちゃったけど、君と一緒に見られてよかった」
「そうだな・・・」
空が次第に明るくなる。
キラキラと瞬いていた星は、空の明るさの中に吸い込まれるようにして。
いつの間にか消えていった。
〜 END 〜
お待たせしました(?)、キングンです〜v
書き終えて思ったのですが、
さり気なく二人で夜明けのモーニングコーヒーを飲んでおります(笑)。
グンマ様が好き。
彼に対して夢見すぎてるってコトは分かってますが、
グンマ様が好きなのです〜vvv
そして、キンちゃんもグンマ様が好き(笑)。
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