ハインさんが積極的(?)過ぎて、別人です。苦手な方はご注意を!!










 手を伸ばしたら、届くのだろうか?
 頭上に輝く太陽。
 まるで、ジェットの笑顔のような。
 窓から身を乗り出し、空に向かって、スッと腕を伸ばしてみた。

「ハインリヒ。何してるの?」

 思いを馳せていた本人の声が聞こえて、ハインリヒは声の主を振り向いた。
 ふ・・・とその瞳の色が和らいだことに、本人は気付いていない。
「空を見ていた」
「そう」
 ごくごく自然に、ジェットはハインリヒの隣に場所を移してくる。
「いい天気だな〜」
「ああ、そうだな」
 何の変哲もない会話。
 こうやって言葉を交わしながら、ジェットは徐々に、ハインリヒの心の中に入り込んでしまった。
 眩しい太陽を見て、ジェットの笑顔を思い浮かべてしまうぐらいには。
 二人で過ごす時間を、幸せだと思ってしまうぐらいに。

 どうして、こんな色気もない三十路の男をと思う。
 一度そう言ったら、ジェットは真剣に怒っていた。
 そんなコトは二度と言わないでくれと哀願された。
 キミだから、好きなんだと。

 アレは、言われて恥ずかしかったな・・・。
 その反面、嬉しくもあったのだが。

 ジェットは優しい。
 優しすぎるくらいだ。
 ひどく贅沢な話だと思うが、優しいジェットに対して、ハインリヒは不満に思うことがある。

「ジェット」
「ん?何??」
「オレに、キスしろ」
 唐突に言ってやると、琥珀の瞳を丸くした。
「はい?」
「キスしろ」
 どうにも偉そうだとハインリヒは自分でも思ったが、生憎、こんな言い方しかできない。
「えーと・・・」
「さっさとしろ」
 困ったように笑って、ジェットはチュ、とハインリヒにキスをした。
 ただ、それだけだ。

 ハインリヒの不満は、ココだ。
 一応、自分たちは好き合っているはずだ。
 それを、この実に遠慮がちなキスは、何なのだ?
 本当に好きならば。
 溶けてしまいそうなぐらいに、情熱的で甘いキスをしてみろ。
 壊れそうなぐらいに強く、このオレを抱きしめてみろ。
 そんな事を思ったりしてしまうのだ。

「ジェット」
「何?」
「やり直しだ」
「はい?」
「キスをやり直せ」

 もっと、ちゃんとキスをしよう。

 そんな台詞、到底口に出す事はできないが・・・。
 態度で分かって欲しいと思う。
 言えない自分も悪いのだが、もどかしくて仕方ない。

「聞こえなかったか?やり直しだ」

 やっぱり困ったように、ジェットは笑って。
 チュウと口唇が重なったタイミングで、ハインリヒはジェットの首に腕を回して抱きしめた。
 自分からも、口唇を押し付けてみる。
 一瞬、ジェットの動きが固まって、それからペロリと口唇を舐められた。
「ハインリヒ・・・」
「・・・何だ?」
「えーと、イイのかな?」
「は?何がだ?」
「・・・キス」
「さっきから、しろと言っているのが分からないのか?」
「それだけじゃ済まなくなっても?」
「・・・構わないぞ」
 ジェットが、笑う。
 それが困ったような笑いではない事に、ハインリヒは安堵した。
「それじゃ、遠慮なく・・・」
 スイ、と頬を撫でる指先。
 腰をグイ、と強く抱き寄せられ、笑いながら、ハインリヒは目を閉じた。

 そして、熱くて甘いキス。

 腕を伸ばして、ハインリヒはジェットの背中をギュッと抱きしめた。



  〜 END 〜




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

テーマは、ジェットのキスが物足りないハインさん(笑)、
でございました〜(脱兎)。
ハインさんが積極的過ぎてスミマセン。
ジェット視点にした方がよかったのかな・・・。
この歌で、こういう話を思い浮かべてしまう辺り、自分もダメダメだと思います。
しかし、この話のハインさん、ジェットを好きすぎかも・・・vvv







ブラウザを閉じてお戻りください。