スミマセン、拙宅のいつもの作品に比べると、少し大人向けです。
苦手な方、18歳未満の方はお戻りくださいませね〜。














「サンジ・・・!」
 名前を呼ぶと、ハッと振り向く顔。
 その顎を捕えて口付けた。
 熱い・・・熱い。
 まるで、燃えるように。
 この熱は、自分だけのモノではないはずだ。

 違うか、サンジ・・・?

 問い掛けは、互いに交し合う熱に溶け込んでしまう。




 抱かせろと、深夜のラウンジでゾロがサンジに迫ったのは数か月前のことだ。
 ほんの一瞬、瞳を大きく見開いた後。
 それから口唇の端を吊り上げて、どこか挑発的に、まるで誘うようにして笑った。
「イイぜ。抱かれてやるよ。どうぞ召し上がれ、クソ剣士殿」
 白く長い指先が、スルリとタイを解く。
 解かれたタイが床に落ちるより早く、目の前にある身体を抱き締めた。
 しなやかに筋肉が付いている身体は、紛れもなく男のものだ。
 けれどもゾロは、その身体に欲情した。
 貪るように口付け、首筋に鎖骨に、鬱血の痕を残す。
「てめっ・・・!痕付けてんじゃねえよ・・・!!」
「てめえが召し上がれっつったんだろうが?言葉通り、美味しく戴いてやってんだ。感謝しろ」
「・・・ふざけんな!!」
 すべらかな白い肌を、口唇で、指先で辿る。
 時折、ビクリと身体が跳ねる。
 反応を示した箇所を重点的に責めるが、ビクビクと身体を震わせるだけで、サンジは決して、声を上げようとしなかった。
 キュッと、噛み締められた口唇。
 声が聞きたいと、もどかしさを覚えた。
「おい」
 瞳が、強い光を湛えてゾロを見据える。
「声・・・聞かせろ」
 そう言うと、ふいと顔を逸らされた。
 長い金の前髪が乱れ、その表情を伺えなくなる。
 ひどく苛立って。
 ゾロは乱暴に、その身体を抱いた。

 全てが終わると、素早く身なりを整えて。
 何事もなかったかのように、サンジはゾロの前に立った。
「お味はいかがでしたか?クソ剣士様。ご満足いただけましたでしょうか」
 ニヤリと、口唇の箸を曲げて笑う。
 その笑い方が、不快だった。
 ゾロが黙ったままでいると、サンジは不機嫌そうに顎でラウンジのドアをしゃくって見せた。
 出て行けと言っているらしい。
「コック・・・」
 途中で中断させられた洗い物を再開した背中は、まるでゾロを拒絶しているようで。
 苛立ちを隠しきれずに舌打ちしながら、ゾロはラウンジを出た。




 それから・・・。

 ゾロが望めば、サンジは黙って、身体を開く。
 己の欲望に抗えずに、ゾロはその身体を抱くのだ。
 薄っすらと、青い瞳がゾロを見つめる。
 ゾロだけを見つめている。
 その視線が、ゾロの想いを加速させるのだ。
 一方的で、心の伴わない行為。
 それを分かっていながらも。

 この男の、全てを食らい尽くしたい。
 イカれていると思うが、止まらない、止められない。

 熱い・・・。
 触れ合う口唇が、燃えて、焼けてしまう。

「サンジ・・・!」

 何故、抱きたいと思ったのか。
 それは、この男に惹かれていたからだ。
 今更そんな事を言っても、手遅れだろうが・・・。

「おれは・・・てめえに、惚れてんだ」

 ボンヤリとゾロを見つめていた瞳が、ハッキリと光を宿す。
 大きく見開かれて。

「好きだ・・・つったら、今更だって、おまえは怒るか?」

 常に引き結ばれている口唇が開いた。
「・・・ゾロ・・・!!」
 いつもギュッと握り締められている手の平。
 それが初めて、ゾロの背中に回った。
「ゾロ・・・。ん・・・は・・・っ!」
 開かれた口唇から、ゾロの名前と喘ぎ声が零れる。

「サンジ・・・好きだ・・・」

 囁きながら口付けを落とすと、
「てめっ・・・それ、反則っ・・!ふあっ、あ・・!!」
 サンジの身体がビクビクと震え、吐き出された液体がゾロの腹を濡らした。
 そして、ゾロも遅れて、サンジの中に吐精したのだった。


「おい、コック」
「んだよ・・・」
 肩で息をしながら、気だるげな瞳が、ゾロを見上げる。
 涙で潤んだそれは、壮絶に色っぽい。
「てめ、いつもと態度が違うじゃねえか」
 そう言うと、面白いぐらいに赤くなった。
「てめえが、ワケの分からねえ台詞をほざきやがるからじゃねえか!!性欲処理のクセに、あんなコト言いやがって・・・はっ、恥ずかしいだろ!!」
「はあ?」
 ゾロは思わず、素っ頓狂な声を上げた。
「性欲処理で野郎なんか抱くかよ」
 そう言うと、グルグル眉毛の下の瞳が、まん丸くなった。
「は??」
「言ったろうが。惚れてるって。おまえはどうなんだ?」
 熟したトマトより真っ赤な顔をして。
 バツが悪そうにフイと視線を逸らしながら、小さな声。
「好きでもない野郎にヤらせるわけねえだろが、このボケ」

 互いに、言葉が足りなかったのだ。

 クックと笑いながら、ゾロはサンジの瞳を覗き込んだ。
「おい、コック。もう一ラウンドだ」
「あ〜ん?」

 深夜のラウンジ。

 言葉遣いが乱暴ではあるが、どこかご機嫌なサンジの声が響く。
「オラ、このクソ剣士!おれが好きだってんなら、手順踏んでやり直しやがりな」
 それを受けて、
「てめえが好きだ。だから、てめえを抱きたい」
 至極真面目にそう告げると。
「おれも好きだぜ?」
 サンジは極上の笑顔をゾロに見せた。
「てめえになら、喰われてもイイな。どうぞ、美味しく召し上がりやがれ」
 互いに顔を見合わせ。
 クスクスと笑いあいながら、口唇を重ねる。

 触れ合う口唇が、熱い・・・。
 まるで、焼けてしまうように。
 熱と熱を伝え合う口付け。

 互いを想う気持ちを溶け込ませて・・・熱を、分かち合う。

 熱い・・・熱い。
 まるで、燃えるように。



  〜 END 〜




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はい、ゾロサンです〜vvv
途中まで、サイゼロの44と被ってしまった感が・・・。
両方ともお読みになられた方は、
歌のイメージが似ているので、仕方ないと思ってお許し下さい(ペコリ)。

これにて、5周年お礼企画フルコンプでございます〜!
お付き合いいただきまして、ありがとうございましたvvv






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