こもりうた
柔らかな女性の声が、聞こえる。
耳に、心地良いメロディー。
温かな指がそっと。
髪を、撫でてくれる感触。
愛情のこもった指先。
頭を撫でる、優しい手。
母上・・・?
『眠れないの、クラヴィス?お母様がお歌を歌ってあげましょうね・・・?』
とてもとても、優しい歌が聴こえる。
自分を慈しんでくれた女性は。
今は遠く、思い出の彼方・・・。
母上・・・。
温かな胸に顔を埋め。
穏やかな愛情に包まれて。
幸せに、眠りについて・・・。
歌が、聴こえる。
なんて、優しい歌声なのだろう。
『クラヴィス』
名前を呼ばれたような気がして、薄っすらと瞳を開けた。
瞳の中に飛び込んでくる、金色の光。
ぼやける視線の先には、若草色の瞳の女性。
「ごめんなさい、起こしてしまいましたか?」
覚えている母親の声よりも幾分若々しい、けれどもやっぱり優しい声。
「よくお休みになられていたようなので、上掛けをおかけしようと思って・・・」
ソファに凭れながら、ウトウトとしていたらしい。
「歌が・・・」
「・・・え?」
「歌が、聴こえた」
何も言わずに、そっと微笑んで。
白い指先が、髪に触れてくる。
彼女は口唇を開き。
歌声が静かに、辺りに流れた。
なんて。
なんて、優しい歌。
歌声に誘われるようにして、クラヴィスは再び、目を閉じた。
まどろみながら、その声を・・・。
歌が、聴こえる。
・・・歌が・・・。
それはとても優しく、心に沁み込んでいく。
聴かせてくれ、その歌を。
いつまでも・・・。
傍らで、いつまでも。
〜 END 〜
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
過去の優しい思い出。
そして今、クラヴィス様を包んでくれる温かな想い。
補佐官リモちゃんとクラ様のイメージでしょうか。
ブラウザを閉じてお戻りください。