月光浴
零れ落ちる、月の光。
私邸の裏庭で、夜空を眺めながら。
クラヴィスは静かに、佇んでいた。
眩いばかりの太陽の光とは違う、青白く優しい光。
太陽の光は人々に活力を与え。
月の光は・・・安らぎを与えてくれる。
辺りをぼんやりと、白く照らして。
優しく、優しく・・・。
包み込んでくれるのだ。
傷ついた心まで。
「フ・・・」
何かを思い出したのだろうか・・・。
クラヴィスの口元に、笑みが浮かぶ。
月明かりの下、艶やかな黒髪が柔らかく光を放った。
笑みを浮かべた口元から、零れ落ちるメロディー。
低く小さな歌声は、辺りの空気に溶け込んでは消えてゆく。
青白い月灯かりが、聖地中に降り注ぐ。
月の光は零れ落ちて。
辺りを、仄白く彩る。
その光を一身に浴びて・・・。
一人、佇む。
気持ちは、凪いでいる。
柔らかな光に包まれて・・・。
月だけがただ、クラヴィスを見つめる。
空を見上げたアメジストの瞳に、月の灯かりが、一滴。
瞳を細め、クラヴィスはその頬に再び、笑みを刻んだ。
一人、佇む。
心地良い光の中、一人・・・。
ひどく、穏やかな気分で。
月灯かりが美しい夜。
〜 END 〜
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月明かりの下で、クラヴィス様に歌を歌って欲しい・・・。
という欲望を、正直に形にしてみました。
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