人の上に立つ器
ジュリアスって野郎は、ほんっとになんつーか、融通が利かない野郎だ。 いっつもガミガミと怒ってやがる。 執務室でちょっと遊んでたらボッカンとオレ様の発明品が爆発した。 ぎゃー!!!マズい、逃げるぜっ! と思う間もなく、すぐさまジュリアスが執務室に飛び込んで来やがった。 「ゼフェル!!そなた一体、何をしているのだ!?」 おめえとオレの執務室って、結構離れてた・・・ハズだよな? というぐらいの素早さで。 その後で、ワタワタとルヴァも現れた。 「ゼフェル、大丈夫ですか〜?」 キッと、ジュリアスがルヴァに視線を向ける。 「ルヴァ!ゼフェルがこのように問題ばかり起こすのは、そなたの教育が悪い所為ではないのか?」 ううう〜ん、と、ルヴァが言葉に詰まっている。 「ルヴァのせいじゃねえよ!」 「ではゼフェル。そなたはもう少し守護聖としての自覚を持つのだな」 頭の上から見下ろされて、少々ムッとした。 少しぐらい背が高いからって、威張るなっつーの!!! ブツブツと小言を口にして。 「以後、気を付けるように」 なんてて言い置いて、ジュリアスが執務室を出て行こうとする。 「おい。待てよ、ジュリアス」 「・・・何かあるのか?」 ジュリアスは、融通が利かなくて頑固で怒りっぽくて、誰にでも厳しい。 ムカつくこともしょっちゅうだ。 でもな。 オレはおめえを嫌いじゃねえんだぜ? 厳しさは責任感から。 融通が利かなくて頑固なのは、真面目だから。 分かってるんだけどよ・・・。 おめえはオレ達のリーダー。 首座の守護聖に相応しい器を持っている野郎だって、分かってる。 でも・・・。 「あら!ジュリアス様に、ルヴァ様。ゼフェル様の執務室で何をなさっているんですか?」 突然湧いてきた可愛らしい声に、ジュリアスの眉間のシワが薄くなった。 「おや〜、アンジェリークじゃないですか。ゼフェルにご用ですか?」 「はいv育成のお願いに」 アンジェリークが答えた瞬間に、ジュリアスの眉間のシワがまた深くなった。 どうでもイイが、恨みがましい目でオレを見るのはやめろ。 こいつはオレに、育成のお願いに来ただけだろが。 「育成だな。分かった。どんくらいだ?」 「たくさんお願いします〜!!」 元気のいい、女王候補のお願い事。 「うっし!了解!!」 「はい!よろしくお願いしますね!!」 ゴホゴホと、ジュリアスがわざとらしく咳払いをしている。 「アンジェリーク」 「はい?何ですか、ジュリアス様?」 「私には・・・何か用は無いのか?」 「大陸にジュリアス様のお力は十分に足りているんですど・・・」 眉間のシワ、MAXだ。怖えぇ。 「でも、一緒にお話させていただいていいですか?」 スーッと、眉間のシワが消えていった。 「分かった。では、私の執務室で。茶の一杯でも出させよう」 「ありがとうございますvvv」 そして、二人連れ立って執務室を出て行った。 オレ達の首座の守護聖は、頑固で融通が利かなくて怒りっぽくて。 んでもって、人にも自分にも、めちゃくちゃ厳しい。 でも、人の上に立つ大きな器を持っていて、おまけに・・・たまぁに笑える。 「ぷっ。ジュリアスのヤツ、アンジェリークの前だと緊張してんの。おもしれぇ〜!!」 クスクスとルヴァも笑っている。 「本当に、ね。アンジェリークの前だと、初々しいですよねぇ」 おめえも人のこと言えねえけどな(笑)。 爆発したブツに、オレは視線を当てた。 気に入りのエスプレッソメーカーが壊れたって言ってたからよ。 スペシャルな新しいのを作ってやろうと画策中なんだぜ? 誕生日が近いらしいからよ。 「ジュリアスもいなくなったコトだし、また頑張るか!」 「ほどほどに頑張ってくださいね〜」 ニコニコと笑いながらルヴァも執務室を出て行った。 急に静かになった執務室で、オレは再びドライバーを手に取って、機械と向き合った。 いいもん作って、ギャフンと言わせてやるぜっ!! 〜 END 〜 |
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ゼー様から見た、ジュリアス様(笑)vvv
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