メンテナンスの悲劇
**イワソは少年バージョン(キャッv)でお願いします**




(何故オレは今、こんな長蛇(というのは大袈裟だが・・・)の列の中で、テーマパークのチケットを買うために並んでいるんだ・・・??)
 アルベルト・ハインリヒは、心の中で自問した。
 ハインリヒの隣には、イワン。
「ボクね、プーさんのハ○ーハントに乗りた〜いvvv」
 などと、希望のアトラクションを述べながらニコニコととてもとても嬉しそうに笑っているイワンを見ると、そんな疑問はどうでも良い様な気がした。
 早い話が、イワンがねずみの国に行きたいとイキナリ駄々をこね始め、ハインリヒがお供を申し付かっただけの事である。
 それに、イワンのウキウキとした様子を見ていると、自分までもが少し浮き立った気分になってくるのが不思議だ。

『お客様にお知らせいたします。本日−−−−は定期点検のため、休止させていただいております』

 開園が近くなり、様々な連絡事項が放送で繰り返される。
 何らかのアトラクションが休止になっているようなのだが、肝心のアトラクション名が聞き取れない。
「え〜?何のアトラクションが休止なんだろう??」
「済まない。オレも聞き取れなかった・・・」
 そうこうしている内に、チケットの窓口に近付いてきた。
 ふと、窓口の近くに掲示してある『本日休止のアトラクション』に気付き、ハインリヒは何気なくそれに視線をやった。

【プーさんのハニー○ント】

(ええええええ〜!?)
 見間違いではなかろうかと、何度も見直してみたが、間違いなく、そのアトラクションが中止らしい・・・。
 イワンに、一体何と言えば良いのだろうか??

 何とかチケットを購入し、今度は入園の列に並びながら、ハインリヒはイワンに声をかけた。
「・・・イワン」
「なあに?」
「これからオレの言う事を良く聞いてくれ」
「ん??」
「今日中止のアトラクションは、プーさんのハ○ーハントだと言う事が判明した」
 ハインリヒの目の前で、イワンの笑顔が曇った。
「・・・嘘・・・!」
「残念だが、本当だ。チケット売り場の休止のアトラクションの掲示に、間違いなく書かれていた」
「楽しみにしてたのに・・・」
 肩を落とす姿が痛々しい。
 普段、倣岸不遜なイワンばかりを見ているので、なおさらそう思える。
「イワン、元気を出せ!プーにだって、メンテナンスが必要なんだ!!その代わり、今日は他のアトラクションを楽しもう、な?何でも、お前に付き合ってやるから」
 宥めるようにハインリヒがそう言うと、イワンが上目遣いでチラリと見上げてきた。
「本当に何でも??」
「ああ、本当だとも・・・!」
「ア○スのティーパーティーとか、そういう恥ずかしい名前のアトラクションでも??」
 そこで少し言葉に詰まったが、ハインリヒは勇敢にも力強く(自分に言い聞かせるが如く)答えを返した。
「お前が乗りたいのなら、オレも付き合ってやる。約束だ」
 せっかく、遠出をしてきたのだ。
(楽しませてやりたい・・・!!)
 父のような、兄のような気持ちで、ハインリヒは思った。
「じゃあ、我慢する・・・」
「よし、いい子だ」
 クシャリと砂色の髪を撫でると。
「って、子供扱いはナシだからねっ!?」
「ああ、スマン。気をつけよう・・・」
(先ほどの拗ね具合は、子供扱いされるに充分足りるものだったと思うが・・・)
「何か思った??」
「いや、何でも・・・!」



 時期的には少し早いが、パークの中は既にクリスマスムード一色だ。
 イワンの表情が、パッと輝き。
「うわぁ〜っ!!すご〜いvvv」
 年齢相応の反応に、ハインリヒの頬が緩んだ。
「一日楽しもうな、イワン」
「うんっvvv」
 二人はそのまま、仲良くパーク内へと歩を進めるのだった。



 〜 END 〜




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


これも実話です・・・(涙)。
アトラクションが中止の放送で、何を言ってるか聞き取れず、
窓口の掲示でそれがプーだと判明した時、脱力しました・・・。
ううう・・・。
一とハヤト様に慰めていただいたのは心温まる思い出です。
こちらは、ハヤト様から案をいただき、CPは14でvvv
久々に14書けて嬉しいです〜vvv





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