ボケとツッコミ
「オレ、ジャングル○ルーズに乗りたい!!改装したんだってさ、なあなあなあなあ!」
「なあなあ五月蝿いっ!!」
「じゃあ、一緒に乗ってくれる??」
お願いモードに突入するジェットに、ハインリヒは諦めのため息をついた。
「分かった。分かったから、少し静かにしろ。子供じゃあるまいし・・・」
「いえーい!!」
ズルズルとハインリヒを引きずるようにして、ジェットはジャン○ルクルーズの列に並んだ。
「へえ〜。結構並ぶんだ・・・」
ゆっくりと、列が進んでいく。
ジェットはキョロキョロと、物珍しそうに周りを見回しながら進んだ。
列は段々と短くなって。
やがて、二人がジャングル探検に出る順番が巡ってきた。
二人の乗るはずのボートが、ドックに止まった。
「お待たせしました。○○号です」
ボートを操縦しているその人の姿に、二人は瞳を丸くした。
『ピュンマ〜!?』
「足元に気をつけてくださいねー」
ピュンマは二人を見て、ニッコリと笑った。
ジェットとハインリヒは、船の一番後ろに座った。
「・・・何でピュンマがいるんだよ・・・」
ハインリヒにヒソヒソと耳打ちすると。
「バイトだろう?制服も良く似合っているじゃないか」
微笑みながらハインリヒがピュンマに視線を当て、ジェットは少しムッとした。
「・・・オレ以外に微笑みかけるの禁止」
「馬鹿かお前は・・・」
ゆっくりと、ボートが動き出した。
「皆さんようこそ。ボクは○○号の船長、ピュンマです。これから皆さんを、危険がいっぱいのジャングルにご案内します。何が起こるかわからないジャングル。2度と戻って来られないかもしれませんので、見送りの人達に、お別れに手を振りましょう。さようなら〜」
ボートは河を進んでいく。
様々な動物達が、目の前に現れた。
その度に、ピュンマが穏やかに、かつ面白可笑しいトークを披露し、和やかなムードで時間が流れていく。
「すげー!楽しい〜vvv」
「・・・まるで、本物のように精巧だな・・・。ピュンマの話題もなかなかのモノだ」
ジェットとハインリヒも、かなりアトラクションを楽しんでいた(笑)。
やがて、ボートは滝に差し掛かった。
「前に見えるのが『シュヴァイツァーの滝』です。願い事をすると、一つだけ叶えられるといいます。皆さんは何を・・・」
そのタイミングで、滝にボートが突っ込みそうになり。
「うわ!上手く避けられますように・・・!!」
ピュンマの叫びと共に、ボートは滝を避けて順路に戻った。
「はあ・・・。どうやら船長の願いが滝に通じたようです。良かった、良かった」
それからピュンマはクスリと悪戯っぽく笑った。
「後ろのお兄さ〜ん!大丈夫でしたか?」
話題を向けられた当人であるハインリヒは、真面目な顔で背後を振り返り。
ジェットは、脱力しそうになった。
「おいおい、ハインリヒ。ピュンマはキミに・・・」
すかさず、笑いを含んだピュンマのツッコミの声が飛ぶ。
「振り返ってどうするんです??それ以上後ろには、誰もいませんよ〜!」
「す、スミマセン・・・!」
前方に座っていた親子連れが最初にクスクスと笑い出し。
ボートの中が、明るい笑いに包まれた。
「ハインリヒ・・・」
「だって・・・!オレが『お兄さん』なんて、誰が思うんだ!?後ろに次のボートが来てるのかと思って・・・」
真っ赤になり、小声で弁解するハインリヒを、可愛らしいと思う。
(ホントは、今すぐキスしたいんだけどなぁ・・・)
理性を総動員して、ジェットはググッと堪えた。
その後、ボートは順調に進み、無事にドックに戻ってきた。
「忘れ物には注意してください。忘れ物は3日以内に取りにこないと、全て船長のものになってしまいます。お子様、恋人など、どうぞお忘れになりませんように・・・!」
最後のゲストとしてジェットとハインリヒがボートを降り際、ピュンマがクスクスと笑いながら、ジェットに小声で囁いた。
「ジェット、ハインリヒを置いていく?忘れ物はボクのモノになっちゃうけどね」
「置いて行くわけないだろが?」
ジェットはギュッと、ハインリヒの肩を抱き寄せた。
「行くぞ、ハインリヒ!」
「ああ・・・。ピュンマ、楽しかったぞ。頑張れよ」
「キミ達も楽しんできて!」
ピュンマがヒラリと手を振って。
ジェットとハインリヒを見送ってくれた。
〜 END 〜
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このアトラクションは、絶対にピュンさんのバイトで!!
そして、「後ろのお姉さん・・・」と言われ、
真面目に背後を振り返ってしまった実話を
ハインさんに体験してもらいました(笑)。
あんまり24ラブラブでなくて、申し訳もなく。
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