悔しいけど、格好良い
普段はアホなのに、アホなのに・・・。
田島って、どうしようもなく格好良いと思う。
あ〜、何か悔しい。
「花井のために打つぜぇぇ!!」
ニカッと笑う表情と。
打席に立って、投手と対峙する時のひどく真剣な表情のギャップに戸惑いながら。
どちらの田島も格好良いと思うオレは、もう、病気なのかも知れない(涙)。
人が捌けてしまった部室に二人きり。
ニーッコリと田島は微笑み、ズズイと顔を近づけてくる。
「花井v」
嫌な予感がして、わざと邪険に答えた。
「何だよ。というか、それ以上近づくな!!」
「どうして?」
頬に浮かんでいる笑みは、確信犯の笑みだ。
「ねえ、花井」
どこか甘ったれたような、けれどもドキリと心臓に響く声。
バットを握れば無敵の手の平が、スルリとオレの頬を撫でた。
「花井・・・オレのこと、好き?」
そんな、投手と対峙している時のように真剣な顔をされたら・・・。
「なあ、オレのこと好き?ちゃんと答えて」
オレをクラクラさせる、真っ直ぐな眼差し。
ああ、もう・・・!どうしてお前は・・・!!
「オレのこと、好き??」
「・・す・・・好き・・・」
全部を言い終わらないうちに、満面の笑み。
「オレも、花井が好きだよ」
囁くような声に、心臓がバクバクと音を立てる。
反則!そんな声、そんな表情は反則!!
「だから、キスしよ?」
「や、やだっ!」
誰か来たりしたらどうするんだ、バカバカ。
「花井がイヤだって言っても、オレはキスするよ、ゲンミツに!!」
オレの意思は無視なのかよ・・・?
「ね、花井。ちゅーしよv」
だから。
軽い口調のクセに、そんなに熱っぽい眼差しはやめろ。
あまりの格好良さに、思わず流されるじゃないか。
「花井・・・?」
問い掛けるような口調、眼差し。
ああ、もう・・・!!
めちゃくちゃ悔しいけど、お前は本当に格好良すぎる。
ペロリと、田島の舌がオレの唇を舐める。
流されてやるよ、仕方ないから。
観念して、オレは目を閉じた。
普段はおちゃらけているクセに、決める所はバッチリ決める。
そんな田島は、もうどうしようもなくカッコイイ。
でも。
悔しいから、格好いいなんて絶対に言ってやらない。
〜 END 〜
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
結局、田島君にベタ惚れの花井君(笑)。
やっと少し甘くなりましたかね?
って、誰に聞いてるんですか、自分よ。
ブラウザを閉じてお戻りください。