みんな夕闇に染まる




 今日も、練習の最中、日が落ちてゆく。
 夕焼けの鮮やかなオレンジは徐々に色を暗くして、やがて、夜の帳が降りる。
 月が出るまでのほんの少しの間、辺りは薄暗い闇に閉ざされて。
 グラウンドの上、みんなが夕闇色に染まった。
 ぼんやりと、地面に転がっている白球の姿が見える。
 ボール拾いをしながら、田島はふと気付いた。

 花井の白い頬も、薄闇の中でぼんやりと浮かんで見える。
 微かに、柔らかな光を放って。

 そして、みんなそれぞれ、様々な色をしているコトにも気付く。
 色素が薄い奴はやっぱりぼんやりと光って見える様な気がして。
 自分や阿部のような黒い髪の持ち主は、薄闇の中に溶けていきそうな色。

「お疲れ様で〜す!!」
 マネージャーの篠岡が、握りたてのおむすびを持ってきてくれて、皆でそれをパクついた。
 それを頬張りながら、田島はウヒヒと笑った。
「・・・田島・・・」
「ん〜?何??」
「何笑ってんだよ、大丈夫か」
 花井が、不審そうな眼差しで覗き込んで来た。
「ん〜とね。色々、面白いと思ってさ」
「何が?」
「内緒v」
 ベンチを照らす明かりの中で、色、人それぞれ。
 やっぱり面白い。



 もうすぐ、月が昇る。
 皆が夕闇色に染まる瞬間は、ひどく短いことに思い至り、田島はもう一度、ウヒヒと笑った。
「・・・お前、変だぞ?」
 呆れ声の花井の指先に、白い米粒を発見した。
 白い指先と相まって、綺麗に夕闇に浮かんでいる。
 それを舐め取ろうとしたのかペロリと舌を出した花井より先に、田島はその指をパクリと咥えた。
「花井のご飯粒、いただき〜!!!」
「うわ〜!!田島、何してんだお前!?」
 花井の絶叫に、皆が何事かと振り返る。
「ご飯粒が勿体無いから、貰っただけじゃん?」
「オレが食おうとしてただろうが!?」
「だって、欲しかったんだも〜ん」
「ばっかやろう!!」
 赤くなって怒鳴る花井に、栄口がニコニコと笑いかけた。
「田島と花井は、ホント、仲良いよなぁ」
「って、どこがだ〜!?」
「え〜?オレと花井はラブラブじゃんvvv」
「うざい!離れろ!!」
 背中からぎゅーとしがみつくと、花井に思いっきり拒絶(?)されて田島は些か物悲しい気分になった。
「二人を見てると夫婦漫才みたいで面白いよな」
 水谷も笑いながらそう言って、釣られて他のメンバーも明るく笑った。
 その笑い声も、夕闇に溶けて消えていく。

「休憩終わり!さあ、もう一汗流すよ!!」
 モモカンの号令が掛かる頃には、夜空に丸く月が浮かんでいた。
 今度は、月明かりの下、みんなの色の違いを観察するのもまた面白いかもv
 などと思いながら、田島はパタパタと、場所を移動した。


〜 END 〜




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


綺麗な夕闇を書きたかったのですが、力不足でスミマセン。
文章が短いのも、私の力不足の所為です(汗)。
夕闇とは、日が落ちて月が昇るまでの暗さのコトを言うそうです。
ちょっと勘違いしていたよ・・・。
西浦ナインは仲良しさんで良いなぁ。
なんか、健○やります!を思い出してしまいますよ・・・。
(こちらはバレーボール漫画ですが)





ブラウザを閉じてお戻りください。