好き?




 気になる、気になる、気になる。
 なんでこんなに気になるんだよ〜!!

 花井梓は、布団の中で頭を抱えた。



 最初に会った時から、なんとなく意識していた。
 強いシニアの4番を打っていたというアイツ。
 自分も中学時代は4番だったから。
 アイツに対して、闘争心というか、競争心というか、なんというか、勝手にライバル視していたりして。
 知れば知るほど・・・。
 コイツって、スゴイ奴なんじゃないか・・・、とか思ったり。
 すげーカッコイイと思ったり。
 ああでも、負けたくない。
 何だかいつも、アイツの背中を追いかけてる感じがする。
 おまけに。
 ニパっと明るいその笑顔が脳裏にチラついて離れなかったり、自分を呼ぶ声がいつまでも耳に残ったりするのって・・・???



「ニヒヒヒヒ〜」
 思いっきり幸せそうな笑い声が聞こえてきて、花井の上に、重い何かが圧し掛かってきた。
 顔を上げると、田島のマヌケ面。
「幸せそうに寝てやがる・・・」
 こんなにマヌケな顔をしているくせに、要所要所ではバシッとカッコ良く決めるなんて、ズルイ。
 何だか癪に障って、鼻の頭を摘んでやった。
「むがぁ・・・」
 苦しそうだ。
 ・・・ざまあみろ。
 ほんの少しだけ胸がすいたような思いで、花井は田島の鼻を離してやった。
 これでちょっとは落ち着いて眠れるだろう。
 もそもそと布団の中で丸まろうとした花井だったが。
「花井v」
 不意に聞こえてきた声に、ギョッとする。
 寝たふりを決め込んだが、声の主はそれを許してはくれなかった。
「は〜ない。寝たふりしない。起きてんだろ?」
「・・・何だよ、田島・・・」
 渋々と布団から顔を出すと、満面の笑みを浮かべた田島の姿が目に入った。
「花井がオレの鼻を摘んだりするから、目が覚めたんだろ?」
「それは・・・っ!」
 指摘され、花井は言葉に詰まった。
「まあ、それはイイとして。オレ、花井に聞きたいコトあったんだよね。ちょうどいいや。今聞いちゃお」
 ニカっと、田島は笑う。
 夜なのに、暗いハズなのに、田島の笑顔の周りは明るく見えるのが不思議だ。
 じーっと、その笑顔を眺めていると。
「花井さぁ。いっつも、オレのコト見てるだろ?どうして??」
 聞かれて、花井は再び言葉に詰まった。
 言えるワケねえだろが!気になって気になって仕方ないからだ、なんて・・・!
「みっ、見てねえよ!!」
 反論したが。
「見てる。絶対見てるっ!」
 キッパリハッキリと断言され、困ってしまう。
 頭に血が上って、今の自分はきっと、真っ赤な顔をしているだろう。
 暗くてよかった、と、花井は心の底からそう思った。
 しかし、田島は花井の顔を更に赤くさせるような爆弾発言をかました。
「花井はさ、オレのコト、大好きなんだよね〜♪一目惚れだよなっ!!」
 花井は一瞬、凍りついた。
 好きなのか?オレは田島が好きなのか?だから気になるのか!?しかも、一目惚れなのか!?
「はあ!?」
 思わず素っ頓狂な声を上げると。
「オレも、一目惚れ〜vvvだって、可愛いんだもん!!」
 ぎゅう、と、抱きしめられた。
 田島がオレに一目惚れ?それって、オレが好きってことか?田島はオレが好きなのか?オレは田島を好きなのか・・・??
 再びグルグルする花井を他所に、田島は無敵のスーパースマイルを見せた。
「花井、大好きだぜ!!花井もオレが好きだよな、そうだよな!!!」
 ・・・そうなんだろうか・・・?
 あまりの田島の勢いに、コクリと頷いてしまう。
 すると、それはそれは嬉しそうに、田島は笑った。
「ハイ、決定。花井は今後、オレのモノだからvそんじゃ、オヤスミ〜」
 言うが早いが、田島は花井に乗ったまま、目を閉じた。
「田島、重いから退けよ。・・・田島・・・?」
 スピースピーと安らかな寝息が聞こえてくる。
 眠るの早っ!!
 突っ込みつつ、花井梓は再び頭を抱えた。


 オレ、田島のコト、好きなのかなぁ。

 考えても答えは出ない。

 明日考えよう・・・。田島も寝ぼけてたのかも知れないし、いや、きっと、寝ぼけてた!!
 全部明日考えよう・・・。

 パチリと瞳を閉じる。
 上に乗っている田島の身体、温かいな・・・。
 そんなコトを思いながら、花井はウトウトと眠りの世界へと誘われていった。



〜 END 〜

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眠れない三橋くんの預かり知らぬ所で、タジハナラブラブ。
一巻で、田島が花井に乗っかって寝てるコマがあって、
妄想があふれ出してきて出来た話です。
お粗末さまでした〜!!





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