『プラス002:内線電話』
(44)

*えみ様の素敵イラストにコラボさせていただいたものです*






 外回りから戻ったハインリヒは、営業部の自室に戻ってきた。
 まだ20時だというのに、既に部内は無人だった。
 営業は出先から直帰、というパターンも多いため、無人の部内に違和感を抱くこともなく、ハインリヒは鞄を開いて資料を取り出し、パソコンの電源を投入した。
 音の無かった空間に、機械音が響く。
 資料を見ながらハインリヒがカタカタと営業の資料を作成していると。
「・・・アルベルト。出先から戻ったのか?ご苦労なことだな・・・」
 背後から突然、声がした。
 十二分に聞き覚えのあるその声は・・・。
「シュヴァルツ課長。まだ、いらっしゃったのですか?」
「先ほどまで、社長に呼ばれていてな・・・」
 シュヴァルツが近付いてくる気配。
 耳に息を吹きかけられ、ゾクゾクという感覚が背筋を走り抜けた。
「今日は、何処の誰に可愛がってもらった?」
 ぬるりと耳朶を舐められ、ハインリヒは身を捩った。
「・・・今日は、一般のお客様と・・・」
「ほう、そうか・・・」
 低い、笑い声。
「ならばさぞかし、欲求不満なことだろうな。ん?」
 背後から伸びてきた腕。
「では、私が可愛がってやろう・・・」
 長く冷たい指が器用にハインリヒのネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを外していく。
「課長っ!まだ、報告書の入力が・・・!」
「そのようなもの、明日で構わん。大人しく、私に付き合うのだな」
 指先で胸の突起を弄られ。
 声を出すまいとして口元を押さえた指の隙間からそれでも零れた声は、辺りに甘く響いた。
「ん・・んん・・・」
 生暖かい舌が首筋を這い回り、ゾクゾクという感覚が、次第に強くハインリヒを揺り動かしていく。
「・・あ・あ・・・・」
 シュヴァルツの指がハインリヒの中心に触れ。
 彼がクククと喉を鳴らす音が、耳に届き、ハインリヒは羞恥で赤くなった。
 ハインリヒのそこは、既に反応を示し始めていた。
「フン。身体は正直だな、アルベルト?もっとヨくしてやるぞ・・・」
 カチャカチャとベルトを外す音。
 中途半端にズボンを落とされて。
「立て、アルベルト」
 ヨロヨロと座っていた椅子から立ち上がると、褐色の指が容赦なくハインリヒの後ろに侵入してきた。
「やめ・・・っ!報告書・・・」
「上司の私が、明日で良いと言っているのだぞ?」
 パソコンの電源を落とされる。
 機械音が停止し、身体を弄られるぐちょぐちょという音だけが耳に届くようになり、ハインリヒはいたたまれないような気持ちになった。
「アルベルト」
 名前を呼ばれ、涙で潤んだ瞳で、上司である男に視線を当てると。
 先ほどまでハインリヒが座っていた椅子に腰をかけ、シュヴァルツは命じた。
「乗れ」
 緩慢な手付きでシュヴァルツの前をくつろげ、既に立ち上がっているそれを、丁寧に愛撫した。
「んは・・・っ」
 そして、シュヴァルツに背を向けるようにして、その上に跨った。
「あ、ああ・・・ん」
 自分の中にシュヴァルツのモノが深々と突き刺さっていく感触に、ハインリヒは感じて、声を上げた。
 すっかり飲み込んでしまうと、シュヴァルツがハインリヒの両足を抱え上げ、動き始めた。
「うあ、あ、はぁっ・・・!」
 もう声を抑えることも出来ず、ハインリヒは胸を大きく上下させて喘いだ。

 トゥルルル、トゥルルル・・・。

 不意に電話が鳴り始めた。
「おや、私の席か・・・。生憎、私は手が離せんな。アルベルト。お前が電話を取るのだな」
「え・・・?」
「聞こえなかったのか?電話を取れと言ったのだ」
 シュヴァルツは、いったん動きを止め。
 それにホッとしながら、ハインリヒは自席の電話の代理応答のボタンを押した。
「(株)ブラックゴースト営業第一部、第一課長席でございます」
「システム企画課長のエッカーマンです。シュヴァルツ課長はご在席かな?」
「シュヴァルツはただいま、席を外しております」
 背後から、低い、笑い声。
 突然、シュヴァルツが動き始め、ハインリヒは思わず、声を漏らした。
「あっ・・・!」
「!?どうかしたか?大丈夫か?」
 受話器の向こうから、心配そうな声が聞こえてくる。
「あっ・・・はい・・・。申し訳ありません。どのような・・・・・・っ!」
「アルベルト・・・?きちんと話さないと、相手が不審に思うだろう?」
 笑いを含んだ声が耳元でそう囁く。

 ズッ、ズッ・・・。

 激しく突き上げられ、声を我慢するので精一杯だというのに。
「どっ、どのようなご用件・・・で、しょう・・か?アッ・・・」
 必死になって会話を続けるハインリヒを、シュヴァルツは容赦なく責め立てた。
 透明な瞳を、快楽の涙が濡らす。
「先日提出していただいた要望書についてなのだが、また後日連絡するよ。君も、具合が悪いのなら早く帰りなさい」
 カタカタと震えながら、ハインリヒは早く電話が切れてくれることを願った。
「あ、ありがと・・っ、ん・・・ございま・・す・・・。課長に、そのように・・・申し伝え・・っ・・・」
「それでは、よろしく」

 ガチャリと、電話が切れた。

「ククク・・・。どうだ、なかなかスリリングだったろう?」
 そう、尋ねられたが。
 与えられる快感で頭の中が麻痺してしまったようで、返事も出来ずに。
「あ、あ、あ・・・」
「いつもより、感じているようだな・・・・」
 楽しげな声と共に、大きく、身体を揺さぶられた。
「かちょっ・・・!あ、あ・・んっ!」
「イクか?ん?」
「ああ・・あ、あ・・・。ああぁ!!!」
 自身が放った白濁した液体が、デスクマットを汚す様を、ハインリヒは虚ろな瞳で見つめた。
 ほぼ同時に、中に熱い迸りを感じて。
 汚れたデスクマットの上に、ハインリヒはガクリとうつ伏せた。



「アルベルト」
 名前を呼ばれ、ピクリと反応する。
「キチンと後片付けをしておくのだな」
 息一つ乱さずに。
 シュヴァルツは綺麗に身なりを整えて、ハインリヒに背を向けた。
「今日もご苦労だったな、アルベルト」
 笑いを含んだその声をどこか遠くに聞きながら。
 ハインリヒは身を起こすことも出来ず、机にうつ伏せたまま、深く。
 息を吐いた。


  〜END〜






◆コメント◆

えみ様のあまりにも素晴らしい44に感動し、
コラボさせていただきました〜!!
えみ様、ヘッポコでスミマセン。



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