『お題05:報告』
(ボグ4)
またいつものおふざけか。
うんざりしながらハインリヒは、態度だけは従順に、上司である
シュヴァルツへ惜しげもなく足を開いていた。
「社長へ提出する為の極めて重要で秘匿事項の報告書」なんて、
社内の常のように用紙にプリントするか、あるいはメール、口頭での
報告だって構わないはずだ。
わざわざ社長付きのハインリヒを半裸に剥いて、さらにその肌へ直接
文章を書き付けるなど、馬鹿げた話だった。
「…んっ…」
ハインリヒの思惑を知ってか知らずか、シュヴァルツの持つフエルト
ペンの先が際どい所を細かく刺激して、甘い声を漏らせた。
「よし…書き終わった。服を着てもいいぞ、ハインリヒ。言いつけ
通り、社長に目を通していただくまでは汗をかいたりしないように」
重要な文章が人目に触れないように、とダークカラーのシャツを着て
くるよう言われ、ハインリヒは濃いグレーのシャツをそっと羽織った。
「シュヴァルツの例の報告書か。早速見せてもらおう」
社長室の隣、社長付きが休憩に使う小部屋の、安っぽいソファに目を
落としながらボタンを外す。
震える足を心の内で叱咤しながら、ハインリヒは真昼のオフィスで
社の最高責任者に白い肌を晒した。
「ほお…」
もっともらしくボグートが文面を目で追っている。羞恥で閉じかける
膝を、力強い右腕が開き、さらにシャツをはだけていく。
「シュヴァルツの奴…こんな狭い所に書きこんで…」
呟くと、左手が無造作にまだ柔らかいハインリヒを掴みあげた。
「………ッ…」
白い頬を染め上げ、耐え切れないとばかりに目を背ける社長付きに、
ちらりと視線を向けると、左手の指で悪戯をしかけながら告げた。
「ご苦労だった、ハインリヒ。報告書は全て読んだ」
ほっと強張った肩の力を抜くと、ボグートの指が更に奥へ伸び、
「承認するなら、ここに入れて中に出せ、とある」
「な…っ!」
「有能な課長は、仕事が完璧だ…。今回も無論私に異存はない」
愕然とするハインリヒに、容赦なくボグートは命令する。
「さあ、舐めろ。ハインリヒ」
明るい真昼のオフィス。狭い部屋に、男二人の荒い息と熱気がこもる。
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